表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2450/2601

二千四百五十 沙奈子編 「誰にでもできる」

三月十三日。月曜日。曇りのち晴れ。


今日は寒い。寒の戻りみたいだね。




星谷ひかりたにさんは本当にすごい人だ。でも、だからこそ僕は自分に星谷さんと同じことができるとは思わないし、沙奈子にも彼女と同じことができてほしいとは思ってない。それに、星谷さんは会社運営はできても、『ドールのドレスを作る』ことはできないからね。『SANA』が存在できてるのは沙奈子が作るドールのドレスがあればこそだし、それは沙奈子がいなくちゃ有り得なかった。


世の中っていうのは、そういう形で成り立ってるはずなんだ。星谷さんみたいな人がいて、沙奈子みたいな人がいて、それぞれがそれぞれの役目をこなしてるからこそ成立してるはずなんだよ。だから、自分が星谷さんや沙奈子みたいなことができないからって卑屈になる必要はないし、『他の誰にもできないことができる』わけじゃなくても、『誰にでもできるようなことしかできない』としても、その『誰にでもできるようなことができる人』がいてくれなきゃ、やっぱりこの世と言うか社会は成り立たないと思うんだ。


『誰にでもできるようなことができる』だけだと、


『代わりはいくらでもいる!』


みたいに言われることもあるとしても、そんなのは『代わりはいくらでもいると言えるだけの人的余裕があればこそ』のものでしかないよね?。『労働力不足』や『労働者不足』が言われたりしてるのも、そういうことじゃないの?。『誰にでもできるような仕事』でも、それをしてくれる人がいなきゃどうにもならないよね?。だからこそ困ってるんじゃないの?。従業員が集められなくて経営が成り立たなくなった企業とかが出てくるんじゃないの?。


『誰にでもできるような仕事』なんだから、偉そうに言ってる人がやればいいのに、やらないんだよね?。できないんだよね?。自分にもやらなきゃいけないことがあるから。『自分にしかできない仕事』と『誰にでもできるような仕事』の両方を同時にすべてこなすことは、できてないよね?。それは星谷さんにさえできないことだよ。だから彼女はちゃんと、『自分じゃなくてもできること』については他の人に任せるようにしてるんだ。あれだけのことができてるのも、そうやって任せられることは任せてるからなんだろうな。


だったら、『代わりはいくらでもいる!』とか言って軽く考えることはできないと思うんだけど?。


イチコさんや田上たのうえさんが『SANA』でしてる仕事も、そんなに難しいものじゃないそうだ。でも、星谷さんも絵里奈も、『代わりはいくらでもいる』と考えてイチコさんや田上さんを軽んじたりはしてないよ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ