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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千四百三十八 沙奈子編 「実はイコールじゃ」

三月一日。水曜日。晴れ。


今日はかなり暖かかった。




玲那は言うんだ。


「昔っから、『正義』ってのは漫画やアニメとかでは重要なテーマの一つだったりするよね。だけど、それを前面に押し出した漫画やアニメを見て育った人は、『正義』ってものをどう考えてる?。『正義を信じて守ること』を目的にしてたりしない?。大事なのは『正義を守ることで結果として自分たちの穏やかな暮らしを守ること』であって、『正義を守ること』じゃないはずじゃん?。『正義を守ること』と『正義を守ることで結果として自分たちの穏やかな暮らしを守ること』ってのは、実はイコールじゃないって私は感じるんだよな~」


って。それに対して僕は、


「ホントに玲那の言うとおりだと思う。『正義を守ること』を目的にしてしまうと、極端な真似だってできてしまうようになるんだろうね。それこそ、『高速道路で交通違反をしてる自動車の前に割り込んで急停車させたり』とか、『バットを持って学校に怒鳴り込んだり』とか。『交通違反をしてる自動車を取り締まるため』とか言って、職務中の警察官でもない人がそれをしたら、それ自体が『道交法違反』だし、それ以外にもいろんな法律に触れる行為なんじゃないかな」


と応えた。


「だよね~。何か危険を回避したりするため以外で高速道路で停止するのって、確かそれ自体が違反だったよね。『違反行為を取り締まるため』って、自分が違反行為してんじゃん。それじゃ意味ないじゃん」


そんな風に僕と玲那が話してるのを、沙奈子も隣で聞いていた。こうやって周りの大人のやり取りから、子供はいろんなことを学んでいくんだと思う。自転車に乗る時に守らなきゃいけないルールを知らない人が多いのは、大人が子供の前でそういう話をしないからっていうのもあるんじゃないかな。その大人自身が知らなかったりするのも、その人が子供だった時に周りの大人がちゃんと話をしてこなかったからなんじゃないの?。


それに、一度聞いただけだとすぐに忘れてしまうかもしれないから、日常的に折に触れて話すのが大事だと感じるんだよ。それを『面倒だから』といってやらないのはやっぱり『甘え』のはずだし、ましてや親が子供に対してそういう話をしないとか、親自身が法律とかルールを無視してたんじゃ、子供は学びようがないよね。


沙奈子が信号とかを守るようにしてくれてるのも、『彼女の周りの大人』がそれを実践してるからというのもあるはずなんだ。と同時に、反発しなくて済む状況を作れてるというのもあると思う。反発せずにいられなかったら、いくら手本を示そうとしても守りたくなくなるだろうしね。




ところで、今日は沙奈子たちが通う高校での卒業証書授与式。新型コロナウイルス感染症の件もあって参加者を絞るために沙奈子たちは自宅学習だったけど、彼女たちはいつも通りに淡々と過ごしてた。



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