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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千四百三十四 沙奈子編 「以前の沙奈子の」

二月二十五日。土曜日。晴れ。




予定してた通りに、沙奈子たちは今日も水族館に行ってる。だけど実際に水族館に行くことそのものを目的にしてるのは沙奈子と琴美ことみちゃんだけで、他のみんなは、


『沙奈子が水族館に行くからそれに付き合ってる』


『人生部の活動の一環だから』


という形で行ってるだけなのはまぎれもない事実だと思う。だけどそれはまだ、『義務感』というのとも違ってるのも事実のような気がするかな。


『義務感だけで行く』というのはやっぱり必ずしも楽しいことじゃないから、今みたいに笑顔で行けてはいないと思うんだ。


水族館に行くこと自体は目的にはもうなっていないけど、沙奈子と一緒に行けるなら楽しいと思ってもらえるのは大事なことなんじゃないかな。


だって、当の沙奈子自身が好かれてなくちゃそんな風にも思ってもらえないだろうからね。


それは沙奈子が、みんなから大切に思ってもらえる振る舞いを実行できているという証拠なんだ。


身勝手で他の人のことを考えない気を遣わない労わない、自分だけを一方的に大切にしてもらおうとする人をいつまでも大切にできるなんて人はそうそういないと思うんだ。僕は親だから、沙奈子から気を遣ってもらったり労ってもらったりというのを期待しないようにもしてる。


そんな僕を沙奈子は、誰かにそうしてもらうように誘導とかされたわけでもないのに、ましてや僕がそう命令とかしたわけじゃないのに、当たり前みたいにして気遣ってくれてる。もちろん彼女はまだ未熟なところがあるからなんでもかんでもしっかりと確実に出来てるわけじゃない。それも事実だけれど、彼女よりずっと長く生きている、『大人』と呼ばれる年齢になっているはずの人でも、周りから自分が一方的に気遣ってもらえることを期待しているような人も少なくないよね。


大変な迷惑になるようなことをしたのに、それを大目に見てもらうことを期待しているような人がいるのは、大人として自慢できることなのかな。僕にはそうは思えないんだけどな。


誰かを気遣うことができるということは、そもそもわざと大きな迷惑を掛けるようなことをしないという話でもあると思うんだけどな。


しかも自分が法律やルールを無視することで起こる影響を考えることもできるのが、気遣うことができるということのような気もするしね。


もちろん自分以外の誰かを気遣うばかりで自分自身を蔑ろにしてたらそれはまた問題なんじゃないかな。


それが行き過ぎたのが以前の沙奈子の姿のはずだし。



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