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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千四百三十一 沙奈子編 「だからやらない」

二月二十二日。水曜日。晴れ。




『年頃の女の子』としては、もっと身だしなみとかも気にするようになって気を遣うようになるんだろうけど、沙奈子はぜんぜんそんな様子を見せない。『他人から自分がどう見られてるか?』というのはほとんど気にならないみたいだ。


だけど同時に、『バイトテロ』とか『迷惑行為』のニュースなんかを見てると、


「こんなことしたら、家族も迷惑するのに……」


と悲しそうに呟いたりもする。彼女にとっては、それが『守りたいもの』なんだろうな。僕と同じで。


僕も、『僕自身の評価』よりも、沙奈子や玲緒奈れおなや絵里奈や玲那との平穏な暮らしを守ることが大事なんだよ。だから、


『仲間とはしゃぐことを重視してその場のノリで悪ふざけをして、さらにウケ狙いで動画を撮ってネットにアップしよう』


なんて思わないんだ。そういう形の『ノリ』や『空気』を大事にしたいとは思わないし、そういうのを大事にしようとする人と仲良くしていたいとも思わない。


それは、沙奈子たちも同じだった。


確かに動画の中で楽し気に悪ふざけをしてる人らはそれが楽しくて、『大切な時間』なのかもしれない。だけど、あんな風に誰かに迷惑を掛ける形でのそれは、少なくない人から眉を顰められて顰蹙を買って呆れられて白眼視されるのも事実のはずだけどな。そんなことをしてまで守らなきゃいけない『その場のノリ』とか『空気』とかって、なんなんだろうね?。ああして多くの人たちから疎まれることと引き換えに守らなきゃいけないものに縋らずにいられない状態というのが、僕には魅力的には思えないんだ。あんなことをしてまでその場のノリや空気を大事にして守りたいものって、なんなの?。


今の僕が得たものは、あんなことをしてたら逆に失われてしまうようなそれだと思う。だから僕はしたいとは思わないし、する意味がない。


沙奈子たちも同じなんだ。だからやらない。


そういうことなんだよ。


たくさんの人から眉を顰められて顰蹙を買って呆れられて白眼視されるようなことをしてまで縋らなきゃいけない『その場のノリ』や『空気』じゃなくて、あんなことをしないからこそ守れるものを沙奈子たちは得たんだ。


ましてや、無闇に耳目を集めて有名になって、多くの敵を作りながら名声を得ようとしなくても幸せを実感できてるんだ。むしろそんなことをすれば壊れてしまうような穏やかな関係だよね。


その中で、沙奈子自身、穏やかな表情で毎日を過ごせてる。『怯え切った捨てられた子犬』みたいな様子を見せないでいられてるんだよ。



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