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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2419/2601

二千四百十九 沙奈子編 「ただの妬みを」

二月十日。金曜日。雨。




その人がそれまでどういう境遇にあってどんな苦労やつらい目に遭ってきたか知りもしないのに、一律の対応をしようとして、それにそぐわないからって、


『甘えるな!』


とか口にする人ってどんな神経をしてるんだろうって僕は思う。沙奈子は、小学校の三年生の時にまるまる一年分、学校に通わせてもらえてなかったんだよ?。今も痣が残るくらい煙草の火を押し当てられたりっていう理不尽な折檻を受けてきたんだよ?。虫歯の治療も受けさせてもらえなくてとんでもない激痛に常に耐えていたりもしたんだよ?。そんな沙奈子が、その才能を見出されて、就職活動もしないままに就職を決めることが、彼女に対して仕事の機会を与えることが、どうして『甘やかし』になるんだろうね?。


そういうのに対して『甘えるな!』『甘やかすな!』なんて口にすること自体が『甘え』だとしか思わないんだけどな。


『ただの妬みを誰かにぶつけることを我慢できないという甘え』


だよね?。


なのにこんな風に言われるとキレるんだろうな。


誰かを妬まずにいられない境遇にあること自体は、必ずしも本人に責任のあることじゃないってことは分かるよ。沙奈子がもし、そうやって誰かを妬んで攻撃せずにいられなかったとしても『無理もないよね』と思う。


だけど、それを理由に攻撃を続けたりきつく当たったりを続けるというのは、甘えじゃないの?。


『パワハラ』というのも結局はそういうことなんだとしか思わない。相手が自分の思い通りにしてくれないことに対して感情的になって、『そんな自分の感情を抑えることもしない甘え』こそがパワハラなんだろうなというのが、自分が社会人だからこそ思う。そして、絵里奈や玲那や星谷ひかりたにさんの様子を見ていればこそ思う。


これまで、イチコさんや田上たのうえさんがまったくミスをしなかったりしたわけじゃないんだ。細々としたミスは何度もあったそうだし、処理が完了していないのに気付かずに放置して発送が遅れてしまったということもあった。だけどそれは、発送担当の玲那自身もやらかした失敗なんだ。


処理が完了してないと一見しただけでも分かるように色を変えるようになってるのに、その画面自体をちゃんと見てなくて『処理を終えたと思い込んで』そのままにしてしまってたんだよ。


玲那自身もそういうことがあるから、イチコさんや田上さんが同じミスをしても偉そうに怒鳴ったり嫌味を言ったりはできないとわきまえてるんだ。


『厳しくしないと下が育たない!』


とはよく言われるけど、実際に育ってないのはどっちなんだろうね。


『自分も同じようにされてきた!』


みたいに『誰かの所為』にするのは甘えじゃないの?。



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