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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千四百十八 沙奈子編 「このまま真っ直ぐに」

二月九日。木曜日。晴れ。




山仁やまひとさんの知人の娘さんが、面接の際に言われたという、


『今時、ここまで学生らしい学生さんは珍しい』


というのは、どうやら話を聞く限りでは、


『今時の学生は、面接に備えて受け答えなどのシミュレーションを重ねすぎて小賢しい印象がある』


とか、


『待遇とかの条件面ばかり気にしていて小賢しい印象がある』


的な意味合いらしいね。


つまり、


『社会人としての経験もないうちから擦れてる』


ってことなのかな。事前に多くの情報を集められてそれを基にシミュレーションを行えるのはいいんだけど、でも実際の経験もないのに分かったような態度を取ってるというのが『小賢しい印象』になってしまうのかもしれない。


だけど、山仁さんの知人の娘さんはそういうのを一切考えずに素のままで面接に挑んで、受け答え自体ははっきり言って『グダグダ』だったらしいものの、その場の対応に真面目に取り組もうとしてる姿勢に加えて、『三年半以上同じコンビニでバイトを続けていた実績』が評価されて採用ということになったみたいだ。しかもその一社だけじゃなくて、就活サポートサイトを通じて同時期に面接を行った会社のほとんどで内定を取れてしまって、本命以外は断らなきゃいけなくなったのが申し訳なくて仕方なかったんだって。


近頃は就職についていろいろ言われてることもあってすごく意気込んで就活を始めたのに、そんな感じで早々に内定が取れてしまって拍子抜けだったとも。


ただ、本人は、全身に蕁麻疹が出るほどにストレスも感じてたらしいけどね。


僕が就職した時には、別に期待もしてなくて適当に目についた企業に応募しただけで採用されてしまったんだけど、そこは、会社の言いなりになるロボットのような社員を求めていて、当時の僕はまさにそれに当てはまるような人間だったからというのもあるんだろうな。だからその点で言えば、あの会社の人事担当者の見る目はあったんだと思う。


もっとも、同期入社組のほとんどが数年で退職してしまってたというのも事実ではありつつ。でもそれも、僕と同期で入社した人たちに限らず、離職率が元々高い会社だったからそういうのも織り込み済みだったのかも。


いずれにせよ、そういう諸々も含めての人生というものだし、それと同時に、沙奈子のように自分の才能を活かす当てがあるのに無理にそういう経験をさせるのも何か違う気がするから、彼女にはこのまま真っ直ぐに自分のできることをやってくれればいいと思うんだ。


なにより彼女は、生まれてからの境遇が過酷すぎるから、もう十分に苦労してきてるはずなんだよ。



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