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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2415/2601

二千四百十五 沙奈子編 「とても曲者なんだ」

二月六日。月曜日。晴れ。




沙奈子は、すごく『いい子』だと思う。しかもそれは、『親にとって都合のいい子』って意味じゃなくて、


『自分の人生を自分自身でいい感じに作り上げていってくれそうな子』


ってことなんだ。


確かに、『SANA』のデザイナー兼職人として大きな利益をもたらしてくれてるのは事実だし、親に歯向かったりもしないし、そういう意味では『親にとって都合のいい子』なのかもしれないけど、でもそれは必ずしも僕が望んでることじゃないんだよ。僕はただ、沙奈子自身が幸せになってくれればそれでいいんだ。そして自分自身で幸せを掴むためには、わざわざ自分から不幸を呼び寄せたり、無用な波風を立てたりしない、というのが大事なんだと思う。


世の中には、目先の感情や欲求を優先して後々トラブルになるようなことを自らしてる人っているよね。『バイトテロ』とか『迷惑行為』もそうだし、不実な行いで誰かの恨みを買ったり、無謀なことをして事故を起こしたり、なんて形で不幸を呼び寄せたり無用な波風を立てたりしてるよね。沙奈子にはそうなってほしくないんだよ。彼女の実の父親がまさに、たくさんの人に迷惑を掛けてそれから逃げるために行方をくらますなんて生き方をしなくちゃならない人だったし。


そのことだって、沙奈子の実の父親は、僕の実の兄は、当人としては別に悪いことをしてるつもりも、自ら不幸を招くような真似をしてるつもりもなかったんだと思う。


『ただただ自分の気持ちに正直に生きようとしてた』


だけだと思うんだ。


『自分の気持ちに正直になる』


『自分らしく生きる』


というのは、その言葉自体はいいもののようにも聞こえるとしても、やっぱり『正直になっていいこと』『正直になるとまずいこと』というのは確かにあって、そういうのをわきまえないと結局は面倒なことになるのは事実だよね。


不倫とかで騒ぎになって仕事にまで差し障ってる人たちだって、『自分の気持ちに正直になった』からこそそんなことになったんだろうし、『バイトテロ』や『迷惑行為』をその場のノリでやって炎上してる人たちだって、当人は『自分の気持ちに正直になった』だけなんだろうな。


だから、『耳に心地好い言葉』というものはとても曲者なんだと感じる。額面通りに受け取ってるだけじゃ、実は幸せになるどころか不幸さえ招きかねないはずなんだ。沙奈子にはそれも分かってほしいと思ってるし、彼女はもうかなり分かってくれてると感じる。そういう点で、『自分の人生を自分自身でいい感じに作り上げていってくれそうな子』だと感じるんだ。



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