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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千三百九十九 SANA編 「ベビーゲート」

一月二十一日。土曜日。晴れ。




こうしてポータブルトイレと、簡易の個室と言うかただの目隠しと言うかな『パイプフレームをシャワーカーテンみたいなナイロン製の幕で覆ったそれ』をネット通販で注文した。正直、一階の裏に置いたビニールプールみたいに結局はほとんど放置されることになる可能性はあるけど、そういうのも込みで『お試し』ということでね。


使い勝手とかも試すためだから安いものにしたし、それで一向に構わない。『無駄』を本当にただの無駄に終わらせるかどうかは、使う側の心掛け次第じゃないかな。ビニールプールにしたって、今年の夏くらいから玲緒奈れおなに遊んでもらうことになると思うし。


それと、『ウォール・リビング』についても、新しいベビーゲートとかはもう取り寄せて一階の和室に保管してあるから、今日からいよいよ作業に取り掛かろうと思う。まずベビーゲートを設置してから、ウォール・リビングの解体に移ろう。


改めて見ると、本当に段ボールで雑に作ったそれだった上に壊れそうになったら適当に応急処置で済ませてきたこともあって、もうすごくボロボロな印象だ。だけど、ここまで二年間頑張ってきてくれたし見慣れてしまったのもあって、なんとなく愛着もないわけじゃない。


「撤去してしまうと思うと少し寂しい気もしますね」


絵里奈がしみじみそう口にすると、


「だよね~。すっかりこの状態が当たり前になってたしね~」


玲那もしんみりとした表情に。そして、


「だからさ、ベビーゲートと鍵だけ付けてさ、ウォール・リビング自体はもうちょっとこのままでもいいんじゃないかな」


とも言うから、


「そうだね。玲緒奈もこのウォール・リビングそのものが遊び場になってるし、もう少しだけ頑張ってもらおうか」


ベビーゲートを設置しながら僕も応えた。


以前ほどは遊ばなくなったとは言っても、ウォール・リビング内のトンネルだって、時々、そこにこもって寛いでたりするしね。


そんな玲緒奈は、


「パパ、パパ!。なに!?」


僕が設置してるベビーゲートを見て興奮した様子で聞いてくる。


「玲緒奈が階段でごっちんしないようにするためのものだよ」


僕が応えると、


「おーっ!」


意味が分かったのか分からないのかは分からないけれど、感心したみたいに声を上げた。彼女もこうやっていろんなことを知っていくんだ。それがまた嬉しいし、気を付けないといけないなって思わされる。僕たちの振る舞いの一つ一つがこの子を作り上げていくんだから。その事実を忘れちゃいけないし、見て見ぬふりするなんてそれこそ駄目だと思う。



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