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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千三百九十六 SANA編 「復活してたりも」

一月十八日。水曜日。晴れ。




「いってきます」


「いってらっしゃい」


朝、学校に行く沙奈子を見送る。


「いってら~!」


玲緒奈れおなも朗らかな様子で送り出してくれた。絵里奈と玲那はもう先に出勤してる。


実は、沙奈子との『いってらっしゃいのキス』『いってきますのキス』が復活してたりも。というのも、玲緒奈が沙奈子と『いってらっしゃいのキス』『いってきますのキス』をするようになったことで、


「パパも! ちゅーしなさい!」


って言われて。それに沙奈子も、


「そうだね」


って笑顔になって。僕から沙奈子へのそれは、額にしてた以前のと違って頬にするようになったんだけど、ぜんぜん嫌がってる様子もなかった。最初は少し照れくさそうにしてても、すぐに慣れたみたいだ。


しかも沙奈子自身、


「やめた方がいいのかもって思ってたけど、ホントはちょっと寂しかった」


だって。そう言われたら僕としても拒む理由もなかった。玲緒奈が望んでて、沙奈子も拒まないんじゃね。このくらいなら。


『相手が望んでるから』と言い訳をして不法なことをするのは違うと思うけどさ。近頃よく耳にする『パパ活』みたいなことも、


『売るのがいるから』


『買うのがいるから』


なんて、『相手がそれを望んでるから』と『相手の所為』にしてそんなことをしてるのは、違うと思うんだ。だから僕たちが『いってらっしゃいのキス』『いってきますのキス』をしてることも、どこまでも『我が家だけの習慣』ということで、別に『そうするべきだ』みたいに推奨するつもりもないんだよ。拡大解釈したり歪んだ解釈したりする人もいるだろうから。


うちではその時の様子で体調とか精神状態とかを見る手段にもなってるっていうだけ。


それで言うと、今日も沙奈子は元気で穏やかだった。顔色や肌艶も問題ないし、表情も穏やかだ。普段からこうやって確認してるから、いつもと違う様子になると分かる。実は、千晶ちあきさんの件の時には、表情が少し暗い印象になってたりもしたんだ。明らかに調子が悪そうというほどじゃなかったから別にまだよかったんだけど、『気を付けなきゃいけないな』とは思わされた。


千晶さんの子供が生まれてこれなかったのについてもそうだし、千早ちはやちゃんがショックを受けてたことにストレスを感じてたんだと思う。そして、何もできない自分が歯痒かったんだろうな。


どんなに家で労わってもらえても癒してもらえても、『嫌なこと』『つらいこと』『ストレスに感じること』というのはなくなったりしない。それは現にこの世の中にはあるんだ。


だからこそ家では安らげるようにしたいんだよ。



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