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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千三百九十 SANA編 「寂しさもある」

一月十二日。木曜日。晴れ。




こうしていよいよ、沙奈子が僕の扶養から外れて、少なくとも経済的には自立もできるようになっていく流れが出来上がった。


本音を言わせてもらえば寂しさもある。『本当に大丈夫かな……』という不安もある。このままずっと僕が守っていてあげたいという気持ちもある。だけどそれはできないし、たぶん、沙奈子の場合はする必要もないと思う。しちゃいけないと思う。それはただの『過干渉』だとしか感じないんだ。


彼女が困ったりつらかったりした時に、あくまで『味方の一人』として力を貸すことができればそれでいいと思うんだ。


そう自分に言い聞かせる。でないと僕は、彼女を束縛するだけの存在になってしまう気がする。沙奈子の実の父親が彼女を捨てたからって、今度は僕が彼女を籠に閉じ込めるようなことをしてちゃダメだよね。それじゃ彼女は自分の人生を生きられないよ。きっと。


『親』というのは、そもそもそういうものなんだって、自分が親になったからこそ実感した。子供の人生に寄生するのが親というわけじゃないはずなんだ。子供の足を引っ張るのが親の役目じゃないはずなんだ。


親は親で、自分で自分の人生を作り上げていってこそ、


『親にだって自分の人生がある!』


って言えるんじゃないかな。子供と同じ対等な人間として、自分の力で生きていってこそそれを口にできるんじゃないかな。


もちろんそれぞれ事情はあるから一律で決まりきった形であるべきだとまでは言わないにしても、少なくとも『親にだって自分の人生がある』と口にするなら、『子供にだって自分の人生がある』ことを認めないとおかしい気がするんだよ。自分ばかり優遇されたいというのは違うと思うんだ。そういうのは子供のうちに卒業するべきなんじゃないかな。だからこそ、欲求が親の手に負える子供のうちに十分に満たされた気持ちを実感してもらって、何でもが自分の思い通りになるわけじゃないこの世界に備えていってほしい。


玲緒奈れおなの場合は、十分に僕たちから構ってもらえて自分が望まれてここにいるんだという実感を得てもらって、安心してもらいたいな。


それに玲緒奈は、お気に入りの自動車の玩具以外は今のところあまり興味ないみたいだ。いわゆる知育玩具とか人形とかも用意したのに、一通りいじったら興味が失せたみたいで、たまにいじるけどまたすぐに飽きてしまって『お気に入りの自動車の玩具』で遊ぶんだ。彼女にとっては玩具で遊ぶよりも僕たちに相手してもらえるのが楽しいんだろうな。



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