二千三百八十七 SANA編 「社員として登用」
一月九日。月曜日。晴れのち曇り。
今日は成人の日。成人年齢が十八歳にはなったものの、沙奈子たちももう来年には十八歳を迎えることになるものの、正直なところ、そういう年齢で一律に区切ることには疑問もある。違和感もある。ピンとこないというのもある。だって沙奈子の精神年齢そのものは、『ようやく小学生くらいになった感じかな?』というのが僕の実感だからね。
確かに学力は、ここまでの頑張りもあって、学年でも上位グループの常連にはなれてるけど、それと精神的な成長とは必ずしも一致しないと思う。性的な感覚の芽生えというのもそうだし、何より『思春期』というものを感じさせないんだ。これは結人くんも同じ。実は大希くんもそうなのかな。ただ、大希くんの場合はお母さんを亡くしてることが影響してる印象はあるかな。
逆に一真くんは老成してると言うか、歪な形で大人びてるところはあるかもしれない。家の事情で『子供ではいられなかったから』かも。
最近は、たとえ家族のお遣いであっても未成年者にはお酒や煙草は販売できないというところも増えてきてるそうで、お酒を買いに行かされることはなくなったらしいけど、そういう対応になり始めた頃には両親が『なんで売らないんだ!』と店に怒鳴り込んだこともあったとのこと。同時に、体が大きくて見た目にも結構年上と思われることもあって、年齢確認がされなかったこともあったって。しかも、
「堂々としてると、案外、平気なもんですよ」
だって。あんまりにも堂々としてるから怪しまれなかったのかもね。
そんな形で大人っぽく振る舞うことに慣れてしまっていたのかもしれない。だけどそれ自体が本来は異常だよ。一律に年齢で未成年と成人を区切ることにも違和感はありつつ、だからといって無理に急いで大人のふりをさせようとするのも違うんじゃないかな。
同時に、法律でそう決まっているのなら、沙奈子も来年には法律上の成人年齢を迎えることについては認めるしかないとは思う。もっとも、それで何か困ることがあるかと言われたら、特になさそうなんだけど。
加えて、
「予定よりも早いですけど、沙奈子ちゃんを社員として登用してもいいかもしれないと思うんです」
絵里奈が提案してきたんだ。
「それというのも、ここまで会社を運営してきて、『SANA』の屋台骨を実質的に支えてる沙奈子ちゃんをアルバイトのままにしておくというのは不健全かなという実感がありまして……。星谷さんとも話し合った結果、正式に社員として登用して本来あるべき形にした方がいいかもしれないと」




