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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千三百八十六 SANA編 「学校も楽しい」

一月八日。日曜日。晴れ。




明日は成人の日だからまだ休みだけど、もうそろそろ沙奈子たちの冬休みも終わる。課題は完全に済ませてるから問題ないにしても、


「学校に行くのはちょっとめんどいよねえ」


千早ちはやちゃんが口にした。


「確かに」


「だよなあ」


「学校は嫌いじゃないけど、なんかこう、人生部として集まるのとは違うよな」


大希ひろきくんと結人ゆうとくんと一真かずまくんがそう言って、


「私は、学校も楽しいけどな」


沙奈子はそう口にする。学校にはあまり友達もいない沙奈子だけど、それでいて別に嫌なことをしてくる人もいないのもあって、学校の雰囲気そのものは好きらしいんだ。


かつて星谷ひかりたにさんが『スクールカースト』を導入しようと画策してそれに同調する生徒も出たりして、実は危うい部分もありつつ、学校側の努力もあってか、取り敢えずは平穏さが保たれてるみたいだね。だからそういう点では安心もできる学校かなと思う。沙奈子に対して『アイスドール』とか『こおりひめ』とかのあだ名を付けてる生徒も一部いるそうだけど、そういうのまで完全になくすというのはさすがに難しいんだろうなと僕も思う。だからある程度までは大目に見ると言うか『そんなものだよね』と受け流すことも必要だと感じる。


もちろん、なくす努力は必要なんだとしても、ゼロにすることは現実的じゃないんだろうな。


だからこそ、家に帰ってきたらその手の『嫌なこと』について雲散霧消させることが必要なんだと実感するんだ。家に帰ってきてまでストレスを溜め込んでいたら、『それをどうやって解消すればいい?』って話になって、結局、攻撃しやすい相手を攻撃することで鬱憤を晴らそうとするしかなくなる気もする。


一真くんや琴美ちゃんを見てるとそれこそ強く感じるんだよ。二人は『人生部』として集まってここで過ごすことで安らいだ気持ちにもなれるけど、自分の家に帰ったらまた、ストレスを溜め込むことになるんだ。


しかも、両親が酒の用意をさせたり、ツマミを作らせたり、自分たちのマッサージをさせたり、という形で邪魔してきて、課題すら満足にできなかったそうだ。だからなるべく学校で終わらせてから家に帰るようにしてたとも。一真くんも琴美ちゃんも。


琴美ちゃんが通ってる小学校も、沙奈子が通ってた小学校と同じで『宿題は家でやることに意味がある』として学校ではやらないように指導されてらしいのはありながら、家庭の事情も考慮して琴美ちゃんについては放課後、相談室みたいなところで居残って宿題を済ませたりしてたとも。


それが、『人生部の部室』であるここでみんなと一緒にするようになったことで必要なくなったんだよね。



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