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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千三百八十三 SANA編 「何があった?」

一月五日。木曜日。晴れ。




「どうした?。何があった?」


朝、一真かずまくんと琴美ことみちゃんがいつものように顔を出すと、琴美ちゃんがポロポロと涙をこぼしながら結人ゆうとくんに抱きついたそうだ。すると一真くんが、


「あいつら、琴美が結人からもらったクリスマスプレゼントのキーホルダーをフリマサイトで売っちまったんだ。結人にもらったのがあんまりにも嬉しかったから家に持って帰ってたらあいつらに見付かって……。それであれ、限定販売のカラーだったらしくてプレミアついてて、一万円で売れたってはしゃいでた。『いいもん手に入れてきたな!。でかした!』とか言ってよ……。しかも金が入ったらそのままパチンコに行ったんだよ……」


と説明してくれて。


「……」


「うわあ……」


「有り得ない……」


「ひどい……」


沙奈子も千早ちはやちゃんも大希ひろきくんも篠原さんも、唖然とした様子だった。当たり前だよ。子供がもらってきたプレゼントを勝手にフリマサイトで売ってしまうとか、無茶苦茶だ。


これには結人くんもキレかけてたけど、沙奈子に背中をさすられたら、


「あ……、ああ……。大丈夫。殴り込んだりしねーよ……」


そう言ってくれて。


確かに結人くんの気持ちも想像できるけど、だからって一真くんと琴美ちゃんの両親を殴ったりとかしたところで、


『子供の持ち物を勝手にフリマサイトで売った』


というのが実際に罪として成立する可能性がすごく低い以上は、彼が一方的に罪に問われるだけだろうからね。


本当に、こんな親でも敬わないといけないのかな?。感謝しないといけないのかな?。親ってそんなにすごい存在なのかな?。僕は自分自身が親だけど、沙奈子や玲緒奈れおなに対して何をしたって許されて敬ってもらえて感謝してもらえるとか、これっぽっちも思えないよ。僕のやってることなんて、親としては当たり前すぎてね。その当たり前のことをした上でなにかしてあげられたならもしかしたら感謝もしてもらえたりするかもしれないにしても、少なくとも今はとてもそんなことできてる実感がない。


「同じのは買えないの?」


篠原さんが千早ちゃんに聞くけど、


「あ~…、確かになんかあれの限定カラーってプレミアついてるって聞いたよ。販売当日の午前中には売り切れたみたいで、結人はぜんぜんそういうの知らないでたまたまあったのを買っただけだから……」


とのことだった。すると結人くんは、


「俺の、色違いだけど、要るか……?」


リュックに付けてたそれを外して、琴美ちゃんに差し出したんだ。


「……」


そしたら琴美ちゃんが受け取って、ぎゅっと握りしめて……。



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