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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千三百八十一 SANA編 「琴美はすごいな」

一月三日。火曜日。晴れ。




今年の正月もまったく特別なことはせずにすぎていく。のんびりと、淡々と。初詣も、『新型コロナウイルス感染症』のこともあって取りやめだ。もっとも、行くとしても近所の小さな神社になるけどね。


この三日間、さすがに篠原さんも習い事の方は休みだったから割とゆっくりできたみたいだ。だけど塾の方は、元旦からやってたらしくて。さすがに難関大学を目指すためのかなりシリアスな学習塾だからというのもあるんだろう。でも、篠原さん自身は、


「私には無理……」


と諦めムードだったらしい。なのに、千早ちはやちゃんに勉強を教えてもらうようになってからは、


「なんか、やれる気がしてきた……!」


だって。嫌々やらされてたのが千早ちゃんと一緒に楽しみながらできるようになったことで頭に入ってくるように。


だから彼女も、元々の能力そのものは決して低くなかったんだろうな。それまでの勉強のやり方が合ってなかったっていうだけで。千早ちゃんだって、あんなに勉強は苦手だったのに今じゃ上位グループの常連だとのこと。さすがに『トップクラス』というほどじゃなくても、別にテスト勉強とか改めてしなくてもそれだということは、ちゃんと実力として身に付いてるってことだと思う。そしてそれは沙奈子や大希ひろきくんも同じ。


結人ゆうとくんも中の上くらいはキープできてるそうだ。一真かずまくんも、中の中くらいまで上がってきてるらしい。入試の時は本当にギリギリのボーダーラインだったのが。さらに琴美ことみちゃんも学校の成績が急に上がって教師に驚かれたとのこと。それまでは『二桁の足し算』さえ怪しかったのに、今じゃ九九が普通にできてる。結人くんと一緒に勉強ができるのが楽しいみたいで。正月中も、沙奈子たちが学校の課題をこなしてる横で、冬休みの宿題を終わらせた上で、ネットから『ドリル』をプリントアウトしたのを夢中になってやってた。それを結人くんが、


「琴美はすごいな」


って褒めてくれるんだ。そうすると、普段はあまり表情がない彼女が明らかに嬉しそうな顔をするのを一真くんは気付いてて。いつも琴美ちゃんをよく見てるからこそ気付く違いなんだろうな。僕が沙奈子の表情の違いを察することができるのと同じか。


『なんで正月まで勉強とかしなきゃなんないんだよ』


みたいに思うかもしれないけど、こうしてみんなで集まってワイワイやってること自体が楽しいんだから、そういう楽しみ方もあるっていうだけだよ。嫌々やるんじゃなくて、楽しみながらやるんだ。だから頭に入ってくる。それだけの話だよね。



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