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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千三百八十 SANA編 「舐めれるくらいに」

一月二日。月曜日。曇り。




僕たちは、『大掃除』というものはしない。いつも、ローテーションで特に重点的に掃除する場所は決めてて、『年末だから』って形で改まって掃除しなくてもいいようにしてるんだよ。しかも一階の厨房部分とトイレは、『人生部の活動の一環』として沙奈子たちが掃除してくれてるし、その掃除も、『飲食関係の仕事』という前提でのものだから、清掃だけじゃなく消毒も徹底してるしね。


「バーロー!。舐めれるくらいに綺麗にすんだよ!」


千早ちはやちゃんはそう言いながら毎日徹底的に掃除してくれる。『舐めれるくらいに』というのはさすがに言葉の綾でも、真剣なのは間違いないんだ。彼女にとっては自分の人生そのものの道筋だからというのもあると思う。それを疎かにしててケーキ屋としてやっていけるわけがないって考えてるんだ。本当にすごい子だよ。ケーキ屋そのものが実際に上手くいくかどうかはやってみないと分からないにしても、それを目指して重ねてきた努力はきっと役に立つと思うんだ。


そしてそのことについて沙奈子は、


「千早はきっとケーキ屋を成功させる。私は信じてる」


と言ってたり。


そうだね。千早ちゃんのそれは、決して、ふんわりとした『ただのあこがれ』『おぼろげな夢』じゃなくて、はっきりとした具体的な『目標』なんだ。実際の仕事で掲げられたりする、『実現すべきそれ』なんだよ。彼女はまだ高校生だけど、星谷ひかりたにさんから与えられた課題とかをきちんとこなそうとしてるし、ケーキ作りの研究にも余念がないし。


スポーツ選手とかでも、漫然となんとなく練習をこなすんじゃなくて、役に立つそれをしっかりと意識してやってる人がプロになったりしてるんじゃないかな。


それでいて、掃除そのものが目的になったりというわけじゃないのも見てると分かる。ケーキ屋になりたいのに掃除で綺麗にすることが目的になってしまってたらまさしく本末転倒だよね。あくまで毎日続けるために掃除自体を楽しんでやろうと工夫してる感じかも。


そんなわけで、年末も、いつも通りにやってただけかな。僕たちはみんな、『いつものことをいつも通りにするのが落ち着く』というのがあると思う。なにか特別なイベントとかサプライズよりもそういうのが性に合ってるんだよ。


あと、千早ちゃんの場合、そういうところは母親に似てるのかな。彼女の母親も、『仕事以外で余計なことはしたくない』というのがあるみたいだし。看護師の仕事って、救急対応とか急な患者の受け入れとか容体の急変とかがあって振り回されることが多いみたいだし。



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