表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2376/2601

二千三百七十六 SANA編 「小さな失敗は」

十二月二十九日。木曜日。晴れ。




今日で『SANA』も仕事納め。明日からは三日まで冬休みになる。そして僕が務めてる会社は昨日で仕事納めだった。だけど、年明け早々に締め切りが来る仕事もあるし、締め切りにはまだ少し余裕がある仕事についても、ぼちぼち進めていこうと思ってる。これは僕が何もせずにただ休むというのができない性分だからというだけで、会社から指示されてることじゃない。ちゃんと就業時間中に集中してやれば十分に間に合うものなんだ。ただ、僕の場合、玲緒奈れおなの相手をしてあげたいから、普通の就業時間中に集中してできないというのもある。


でもそれについては僕自身の問題だから、会社には迷惑を掛けるつもりもないんだ。これができるから在宅仕事を選んでるというのもあるしね。


だから、本当なら冬休みに入ってる今日も、リビングで玲緒奈の玩具になりながら仕事をこなす。


そして夕方。仕事を終えて帰ってきて沙奈子と一緒に夕食の準備をしてた絵里奈の前で、


「むひっ!。むひっ!!」


とか声を上げながら玲緒奈は僕の体を上ってた。だけどその時、


「でっ!?」


焦った声と共に玲緒奈がずり落ちてしまう。『ぼてっ!』って感じの音をさせながら床に倒れた彼女を見て、


「大丈夫!?」


僕も慌てて声を掛けた。だけど彼女は、


「ぶーっっ!!」


怒ったように口を尖らせて唇を鳴らしてただけで、泣いたりはしなかった。ウォール・リビング内の床は一面、ウレタン製のマットを敷き詰めてるから、多少なら頭をぶつけてもちょっと痛いだけで怪我をするほどじゃないはずなんだ。


すると玲緒奈は改めて僕の体を上り始めた。このくらいじゃへこたれない子だから。


それを見た絵里奈が、


「世の中には、『痛い目を見てこそ強い人間に育つ』とか言ってる人がいますけど、でもその一方で、些細な失敗すら許さない人がいますよね。そういうのを見てると、『どっちなんですか?』って私は思うんです。『失敗する』というのも『痛い目を見る』ということですよね?。命にまで関わるような『痛い目』は推奨して、周りがちょっと迷惑する程度の『小さな失敗』は許さない。本人がお手伝いとかをやりたがったりした時に『二度手間になるから』ということでやらせようとしなかったりするじゃないですか。二度手間になるような些細な失敗は許せないんですね」


って口にした。


「そうだよね。僕もそれは本来、逆なんじゃないかなって思う。命にまで関わるわけじゃない小さな失敗は経験として大目に見て、でも命に関わるような『痛い目』についてはあらかじめ致命的なことにならないように対処しておきたいよ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ