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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千三百七十一 SANA編 「同じになっちゃ」

十二月二十四日。土曜日。晴れのち雨。




今日は大希ひろきくんの誕生日。水族館に行った後で、一階の『部室』でささやかなお祝いをしてた。ケーキを焼いたのはもちろん千早ちはやちゃん。もうすっかり普通のケーキ屋で売ってるものと見分けがつかなくなってる。しかも味も、みんなが食べやすい甘さ控えめのもの。ただ、篠原さんだけは、


「もっと甘くてもいいかなって思う」


とは言ってるけどね。それでも、


「これはこれで美味しいよ」


とも言ってくれてるそうだ。


「おめでとう」


みんなが声を揃えると、二階の『ウォール・リビング』内でビデオ通話越しに見てた玲緒奈れおなも、


「おええとー!」


だって。そんな玲緒奈にも大希くんは、


「ありがとう」


笑顔を返してくれる。


そんな様子を見てた玲那が、


「最近、誕生日ってのを考える度に思うんだけどさ、人間としてこの世界に生まれてくるのって、異世界に転移したり転生したり召喚されたりするみたいなもんじゃね?って感じるんだよね。しかも、チート能力とか授けられずにさ。異世界に転移したり転生したり召喚されたりってのは、だいたい、勝手にそれをしたのがいて、主人公とかは巻き込まれただけってのが多いじゃん。神様とか何とかに。この世界に生まれるのだって、親の勝手に子供が巻き込まれただけでしょ?。玲緒奈だってパパちゃんと絵里奈の勝手に巻き込まれて生まれてきたんじゃん。


それなのに、異世界に転移したり転生したり召喚されたりした時にはそれをやった神様とかに文句言ったりするのが普通だったりすんのに、同じように勝手にこの世に送り出した親に文句言うのは許されないとか、おかしくない?。私はおかしいと思う」


とか言い出した。これも、僕は共感しかない。


そうだ。玲緒奈をこの世界に勝手に送り出したのは、僕と絵里奈だ。そのことに対して文句を言われるとしたら、


『ごめんね』


としか言いようがないよ。だからこそ、彼女のことを受け止めなきゃいけないんだ。僕も絵里奈も。彼女を人間として認めて受け入れなきゃ駄目なんだよ。それが、彼女を勝手にこの世に送り出した僕と絵里奈の責任なんだ。養育するのだってそれ。


今、うちは世帯年収一千万を大きく超えてるとは言っても、玲緒奈を除く全員で働いてのそれだから決して『裕福』とかいうわけじゃないけど、でも、そういうのはまったく別として僕と絵里奈は玲緒奈を育てていく責任があるんだ。僕の両親や沙奈子の両親や玲那の実の両親といった『反面教師』が一層、そのことも明確に伝えて来るよ。


あの人たちと同じになっちゃ駄目なんだってね。



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