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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千三百六十二 SANA編 「魅力的なんだ」

十二月十五日。木曜日。晴れ。




僕が今、玲緒奈れおなとこうしていられるのは、沙奈子との経験があればこそだって感じる。山仁やまひとさんはそれこそそういうのもなしでイチコさんと大希ひろきくんを育てたけど、


「私の場合は妻が頑張ってくれたからできたことですよ。私一人の力じゃありません」


とも言ってたな。対して僕の場合は、本当に最初は僕一人で手探り状態だった。それでも、沙奈子が『人間じゃない動物』なんかじゃなくてちゃんと人間なんだって実感できてからはそれこそ不安が減った気がするんだ。だって僕も人間だから。人間として人間と接するんだと考えたら、何か特別なことをする必要はないんじゃないかって思えるようになった気がする。


そこに、山仁さんや絵里奈や玲那と出逢って力を借りることができて、また余裕ができたって感じかな。


もっとも、絵里奈と玲那に対しては最初はすごく警戒してたのも事実だけど。でもそれも、絵里奈と玲那自身も手探り状態で試行錯誤を繰り返しながらのことだって分かったら、なんだか親近感も湧いてきたのかも。二人もとても不器用で、それでいて誠実だった。そこが信頼できた。人間として人間である僕を受け止めようと頑張ってくれてた。共感できた。それが決め手だった。これが口先ばっかりいいことを言うだけの人なら、こんなに気が合わなかったと思う。


何より、誰かを見下して馬鹿にして攻撃するようなことを『当然の権利』だと考えていなかったのが大きい。そんなのを当然の権利と考えて躊躇なくするような人だったら、まったく信頼できていなかった。そんな人とは関わりたくないから。


確かに最初は強引だったりもしつつ、それも不器用さの裏返しだと分かったらむしろ『可愛げがある』って感じだったかもしれない。でもあくまで重要なのは誰かを見下して馬鹿にして攻撃して蔑んで貶めることで自分を上げようとするようなタイプじゃなかったというのが一番だよ。そうでなければ家族になんてなってない。


あくまでそれが大前提で、その上で『波長が合う』と言うか『一緒にいても苦痛がない』と言うか、無理せず付き合っていられるのが大きかったな。見た目だって可愛らしい印象を受けたりしたのは、陰険さや卑劣さが表情や振る舞いに出てなかったからだし。造形そのものは飛び抜けて整ってるわけじゃないし。


だけど、僕にとっては魅力的なんだよ。二人とも。特に絵里奈は、女性としてちゃんと魅力的だと感じてる。今でもね。


他の誰が何を言ったって関係ない。僕にとっては魅力的なんだ。



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