二千三百四十六 SANA編 「その立場に」
十一月二十九日。火曜日。雨。
『暴力で強引に状況を変えようとする』
というのは、『軍事クーデター』とかでもそうだと思う。むしろ軍隊とかの方がそういうことをできる力を持ってるよね?。そうして軍隊がクーデターで自分たちに都合のいい社会に作り変えてしまうことも認めるの?。
『暴力で強引に状況を変えようとする』というのはそういう一面もあるとどうして認めようとしないの?。自分たちに都合のいい部分ばかりを見てもてはやすとか、それは本当に利口な人の姿なの?。
暴力で強引なことをしてたまたまいい方向に行けばいいけど、悪い方向に行く可能性だって間違いなくあるんだっていう現実をどうして見ようとしないんだろう。そんな人が本当に現実が見えてるとは思わない。
ましてやそんなことに巻き込まれて僕の大切な人が命を落としたりしたら、絶対に許せないと思う。暴力でどうこうってのを正当化しようとする人は、自分たちが起こしたそれで犠牲になった人の遺族とかから復讐されることもちゃんと考えてるの?。
『自分たちの邪魔をしたのが悪い!』
とか言って『相手の所為』にして責任逃れをするつもりなの?。その程度の覚悟しかないんだ?。
だったらやっぱり『暴力で強引に状況を変えようとする』ことに正当性なんてあるとは思えないな。覚悟があったとしても正当だとは思わないけど。
本当に世の中を変えたいんなら、自分が仕組みや制度を作る立場になるのが本筋だと思う。自分にとって都合の悪い仕組みや制度を作る人たちばかりがそういう立場になれてるんだとしたら、そういう人たちよりも努力してないってことじゃないの?。
もっとも、なんだかすごくよさげなことを言って政治家にまでなった人たちがかつて政権を取った時に、実際にはそんなにいい形に変えられないままに政権を奪い返されたりしてたみたいだよね?。当時、僕も内心ではすごくがっかりしたのを覚えてる。あれで、
『なんだ。口だけじゃないか』
と思わされたのは事実だ。しかも、その後も自分たちがなぜ政権を維持できなかったのかを分かってないみたいな言動ばかりで、『何も反省してないんだな』って思わされたというのもある。自分たちの失敗から何も学んでないっていうね。
そうやって実際に選挙で政権を奪ってもその有様だったんだよ?。なのに暴力で強引に状況を変えてしまおうとしてそれが上手くいくとか、どうして思えるの?。僕にはまったく理解できないんだ。ちゃんと仕組みや制度を作り上げて運営していく能力がある人がその立場に就かないと意味がないっていうのを思い知ったよ。




