表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2344/2601

二千三百四十四 SANA編 「理解できないかな」

十一月二十七日。日曜日。晴れ。




何やら、不妊治療の一環として『子宮移植』が認められるような流れになってるようだね。


これについて、沙奈子や千早ちはやちゃんや大希ひろきくんや結人ゆうとくんや一真かずまくんや篠原さんも交えて、絵里奈や玲那も一緒になって話し合う。


「私は、そこまでするっていうのはよく分からない」


沙奈子が口にすると、


「あ~。私もだよ。ただ、千晶ちあきえみたいに、『子供なんか欲しくない』と思ってる相手から『子供が欲しい』と思ってる人にならあげてもいいんじゃないかと感じてる。てか、要らんでしょ。あいつには……!」


千早ちゃんが、隠しきれない憤りをにじませつつ吐き捨てるように言った。これも彼女の正直な気持ちだと感じた。それに対して、


「千早の場合はそう思っちゃうかもだけど、僕はさすがにそこまでは思えないかな」


と、大希くん。さらに結人くんが、


「だな。千早のは、姉貴にムカついてるってのがでかいだろ。『子宮移植してまで子供が欲しい』みたいに思ってる奴の気持ちとか関係ないだろ?」


やや辛辣にも思える指摘を。すると千早ちゃんは、


「……確かに、そういうのもないとは言わないけどさ……。だけど、子供が欲しいと思ってる人にできなくて、『子供なんか要らねえわ』とか言って簡単に殺すような奴がホイホイ妊娠できるってのが納得いかないってのは本音だよ。子供要らないんなら欲しい人に子宮も卵巣もあげちゃえよ。そしたらいくらでも好きにヤれんだろ」


明らかに苛立った様子でそう口にした。すると、それを僕の膝に座って見ていた玲緒奈れおなが立ち上がってモニターの中の千早ちゃんに、


「ちーちゃん、よしよし」


って言いながら、画面の中の彼女の頭を撫でてくれた。千早ちゃんがつらそうにしてるのを玲緒奈も感じたからだっていうのが分かった。


これに対しては、


「玲緒奈ちゃ~ん、ありがとう~……!」


千早ちゃんも相貌を崩して腕で涙を拭うような仕草をしてそう言った。少し気分が和らいだのが、声の調子からも分かった。もちろん千早ちゃんから見たら玲緒奈がモニターの下の方に見切れた状態で近付いただけでしかなかっただろうけど、慰めようとしてくれたのは伝わったと思う。


そんな様子に、みんなちょっとホッとした空気が。


そうして玲緒奈が僕の膝に戻ると、今度は一真くんが、


「だけど俺はやっぱり、『そこまでするのはどうなんだろう』って思わなくもないんだ」


素直な意見を。さらに篠原さんも、


「私も、千早のお姉さんみたいなことはどうかと思うけど、だからって移植までするのは今はまだ理解できないかな……」


だって。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ