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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千三百四十一 SANA編 「僕が付き合う」

十一月二十四日。木曜日。曇り。




世の中には、本当に意味の分からないことをしてる人がいるもんだと思う。


大変な事故で家族を喪った人に対して誹謗中傷してた件での裁判があったらしいけど、どうしてそんなことをしてるのかが僕には理解できないんだ。


沙奈子と暮らし始める以前の僕は、他人のことなんかどうでもいいと思ってた。でも、だからこそ、『遺族を中傷する』なんて形で他者に関わろうとすること自体が理解不能なんだよ。


だけど、もしかするとそんな形ででも誰かと関わりたかったのかな?とも思ったりはする。もしそうだとしても、どうして本来なら自分とはまったく関りもない事故遺族なんだろう。誰かと関わりたいんなら、自分の家族と関わっていればいいよね?。それとも、関わろうとしてくれない家族だったってこと?。


だとすれば、僕は沙奈子や玲緒奈れおなにそうなってほしくない。たとえどんな形であってでも誰かと関わりたいと思うなら、それが攻撃的な行いであっても僕に対してしてくれればいいと思ってる。むしろ、何の関りもない赤の他人に、そんなことに巻き込まれなきゃならない理由も、そんな形で関わろううとする人間の相手をしなきゃいけない義理もないはずなんだ。


けれど僕は、沙奈子を受け入れ、玲緒奈にこの世に来てもらった。その責任が僕にはある。となれば、見ず知らずの赤の他人に迷惑を掛けるんじゃなくて、僕に迷惑を掛けてほしいんだよ。僕が相手をする。僕と絵里奈が相手をする。それ以外の誰も、そんなことをしなきゃならない義理も義務もないんだ。


「沙奈子、ストレス発散なら僕が付き合うから、他の人に八つ当たりとかはしないでほしい」


僕のその言葉に、


「うん。分かってる。他の人にはそんなことしない。私がそんなことしたらお父さんは悲しむよね」


沙奈子はそう応えてくれた。ああ、そうだ。『沙奈子がそんなことをしたら僕が悲しむ』と彼女は理解してくれてる。だからやらない。これが大事なんだと思う。


ただ、『親が悲しむ』『親に迷惑が掛かる』というのを分かっててやる人もいるだろうな。それはつまり、その人にとって『親』は、『悲しませてやりたい相手』『迷惑を掛けてやりたい相手』ということだよね。どうしてそうなったのか、どうして自分の子供にそう思われるような親になってしまったのか、考える必要がすごくあるように感じる。


そういう部分から目を逸らしてて問題の本質が理解できるとは、僕には到底思えないんだ。



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