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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千三百三十九 SANA編 「必要経費以外は」

十一月二十二日。火曜日。曇り。




千晶ちあきさんの妊娠と堕胎の一件は、僕にとってもかなりのストレスになってたんだろうなって感じる。なんとなく荒んだ気分になってる気がするんだ。その上で、僕たちに改めて、


『人間として生まれてきて生きているという事実』


について考えることを促したと思う。その一方で当の千晶さん自身は、ケロッとしてるそうだ。ただそれも、千早ちはやちゃんが見た印象でしかないから、本当のところは分からない。もしかしたらショックを受けててそれを受け止めるために平気なふりをしてるだけかもしれない。その辺りについては本人にしか分からないと思う。


だって僕たちは誰も、千晶さん自身じゃないから。


千早ちゃんもそれは分かってる。分かってるから、以前と同じように家のことをしてる。食事の用意をして、掃除をして、家計の管理をして。家計の管理のスキルも、人生部の活動として『ケーキ屋経営のシミュレーション』をしてたことで身に付けたものだった。


「まあ、そっちに比べたら簡単なもんだよ。片手間でできる」


とは、千早ちゃん本人の弁。しかも、母親やお姉さんたちから預かったお金をやりくりして、それぞれの名義で貯金もしてるって。その一方で、千早ちゃん自身の『お小遣い』は、今も山仁やまひとさんからもらってる。母親は、


「必要経費以外は出さないからね」


って言ってるそうだ。本当に徹底してるな。それを、


『学費だけでも出してくれてるなら恩を感じるべきだ』


とか言う人もいるだろうけど、何度も言うように子供を生んだのは親自身の決断でしかなくてそこに子供の意思は一切介在してないってことが千晶さんの妊娠と堕胎の一件でも確認できたのに、まだそんなことを言うの?。子供を養育するのは親自身の行いの後始末でしかないのは事実だよ。その程度の責任も負えない人が『大人』と自称してるとか、訳が分からない。だから、イジメ事件の加害者の親とかイジメを認めようとしない学校関係者みたいなのが出てくるんだとしか思わない。


僕たちは、自分の子供が誰かを虐げようとしてたらそれを黙って見過ごすつもりは毛頭ないし、『イジメはイジメられる側にも原因がある』とか言って逃げるつもりもないんだ。『原因があるからって何をしてもいいわけじゃない』という当たり前のことを分かろうとしてるだけだし、自分の子供たちにもそれを理解してもらおうと思ってるだけなんだ。


ましてや、『親の所為にするな』とか『社会の所為にするな』とか言ってるような人は、『被害者の所為にするなんておかしい』と思わないと筋が通らないんじゃないかな。


僕はそう思ってる。



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