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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千三百三十五 SANA編 「親の権利」

十一月十八日。金曜日。晴れ。




こうして今回の『千晶ちあきさんの妊娠と堕胎』は、千早ちはやちゃんの心に大きな傷を残す形で終わった。


その千早ちゃんも、昨日はさすがに酷く落ち込んだ様子だったけど、それでも学校には行って、学校では沙奈子や篠原さんに支えられて何とか一日過ごすことはできたみたいだね。もっとも、授業の方はほとんど頭に入らなかったらしいけど。


そして今日は、少し落ち着いたみたいだ。


「うん、もう大丈夫」


とは口にしてたし。


もちろんそれの言葉をそのまま真に受けることはできなくても、実際にもうどうしようもないことだというのは千早ちゃん自身にも分かってるはずだから、後はもう受け止めて乗り越えていくしかないんだよね。


そして僕は、今回のことで改めて実感したよ。


『子供を生むのも生まないのも百パーセント親の勝手』


だっていうのをね。『生まない』という選択ができる以上は、『親の勝手』以外の何ものでもないっていうのがより一層はっきりしたとしか思わないんだ。それは決して揺るがない。


だけど僕は、『堕胎は悪いことだ』って言いたいんじゃないんだ。それぞれ事情はあるだろうから、そういうのも併せて考えないといけないのは分かってる。でもね、だったらなおのこと、


『子供が親を選んで生まれてくるなんてことはない』


っていう事実は事実として認めるべきだと思うんだよ。『子供を生むか生まないかを決めるのは親の権利』だとか言うんならね。自分を生まない決断をする親を子供が自分の意思で選ぶとか、あんまりにもふざけた考え方だとしか思わない。傲慢とかそんなのを通り越して『ふざけてる』としかね。


『親の都合で子供を生むか生まないか決められる』


これがどれほど重い意味を持つのか、千早ちゃんも思い知らされただろうな。千早ちゃんだけでなく、沙奈子も、大希ひろきくんも、結人ゆうとくんも、一真かずまくんも。


ただ、国によっては堕胎や人工妊娠中絶に対して厳しい考えを持つところもあるらしいというのは、それが『宗教』が強い影響力を持つ国だというのは、


『子供自身が親を選んで生まれてくる』


というオカルトを否定されることを恐れてるのかなって印象も受けた。


『子供自身が親を選んで生まれてくるんだから親に対して恩を感じて敬うのは当然』


という考えの根拠が揺らぐことを恐れたのかな。


親の都合で子供を生むか生まないかを決められるなら、親にその決定権があるなら、嫌なら拒絶すればいいんだしね。


『親に拒絶する権利がある』と考える人がいるというのが、すべてを物語ってる。



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