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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千三百三十一 SANA編 「違ってしまった」

十一月十四日。月曜日。晴れ。




『SANA』の経営は順調で、『人生部』の方も、篠原さんは来なくなってしまったけど、いつでも戻ってこれるように彼女の席もそのままにしてあるし、千早ちはやちゃんが言うには、


「まあ、学校ではそんなぎくしゃくとかもしてませんから」


ということだった。だからそちらは様子を見るということで対応しようと思う。それよりは、千早ちゃんのお姉さんの千晶ちあきさんのことだ。


実は千早ちゃんがお姉さんの妊娠のことでショックを受けてるのを知って、逆に篠原さんが学校での千早ちゃんを支える形になってるらしい。


そして皮肉なことに、『セックス』や『妊娠』のことについて篠原さんに現実を突きつける形にもなったみたいだ。


『予期せぬ妊娠』が周囲にどれだけの影響を与えるかということも。


もちろんそれで『よかったよかった』とは言いたくないけど、『他山の石』として活かすことができるなら、誰かがそこから何かを学ぶことがあるなら、多少なりとも救いにはなるのかもしれないな。


同時に僕も、玲緒奈れおながこうして僕たちのところに来てくれて、毎日、笑顔で楽しそうに生きてくれてることに改めて感謝したいと感じてしまう。この子を死なせなきゃいけないような状況じゃなくてよかったと思うんだ。


だけどその一方で、玲緒奈と千晶さんの子供は、どうしてこんなに違ってしまったんだろう……?。とも思ってしまう。僕の子供として来てくれていればためらうことなく受け入れるよ。大変とかなんとかは、僕なら後回しにできる。玲緒奈のことも受け止められてるからね。


なのに、千晶さんの子供として来てしまったから、僕の手は届かないんだ。格好つけた綺麗事をいくら並べても、僕にはその程度の力もない。僕の下に来てくれた子しか抱き上げられないんだよ。来てくれるなら、その形は沙奈子や玲那の時みたいなのでも、今なら受け止められる。その自信は確かにある。だからこそもどかしい。


この世の中は、漫画やアニメやドラマのようにはいかないんだ。


篠原さんが習い事に向かった後で千早ちゃんが帰ってくると、今度は沙奈子が、


「おかえり、千早」


と彼女を迎えてくれてた。大希ひろきくんも結人ゆうとくんも一真かずまくんも一緒に。


「うん、ただいま……」


千早ちゃんにとっては、確かにここが安心できる場所になってる。ホッとした表情になってくれてる。


「ホントに、なんでよりにもよって千晶えのところなんだよ……。なんでそんなホイホイ妊娠とかできんだよ……。おかしいだろ……」


悔しそうに呟いた千早ちゃんを、沙奈子がそっと抱きしめてくれてたんだ。



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