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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千三百二十八 SANA編 「昔のやり方が」

十一月十一日。金曜日。晴れ。




人間だけじゃなく、人間以外の動物だって、決して『完璧な子育て』をしてるわけじゃないと思う。失敗することもあると思うし間違うことだってあるんじゃないかな。


その上で、特に人間は複雑な心というものを持ってるからなお一層、難しいものになってるとは思うんだ。だから千早ちはやちゃんの母親が『あんたに子供を生んで育てることの何が分かる!?』と声を荒げてしまった意味も、想像できないわけでもないのも事実だよ。実際、今の千早ちゃんにはまだまだ子育てまでは任せられないという印象しかない。


昔は今の沙奈子や千早ちゃんの年齢にはもう子供を生んで育ててたというのもあったんだとしても、社会そのものが一層複雑になってきてる今の世の中では『昔はこうだったから』なんて理屈は通用しないという印象しかない。


なにしろ仕事だってそうだよね?。昔のやり方がそのまま通用するならそのままやってればよかったのに、通用しなくなってきたから『老舗』と呼ばれてるようなところの経営が立ち行かなくなって廃業したりするんだよね?。つい最近も、誰もが知ってるような有名なお菓子を作っていた老舗メーカーが廃業を決めたらしいし。『昔はこうだったから』が通用するなら、今でも問題なく経営できてて当然だと思うけど?。


だけど現実にはそんな甘くないんだよね?。


子育てだってそうだと思う。昔の人が十五や十六で子供を生んで育ててたからってそれが今でも通用すると考えられるその神経が僕には理解できないよ。


でも同時に、感情の面では、


『せっかく授かった命を、浅はかな親の都合でなかったことにする』


ことに対しても、


『そもそも育てる気もないのに子供ができるようなことを安易にする』


ことに対しても、納得できない部分があるのも正直な気持ちだよ。


『どうしてそんな人に子供ができてしまうんだろう?』


と考えてしまったりもする。


考えてしまうけど、でも僕の考えなんか関係なしに千晶さんが妊娠してしまったことはまぎれもない事実であり現実なんだ。だからって千晶さんを責めたところで、起こってしまったそれがなかったことにはならない。彼氏だったという男性についても、千晶さんに乱暴したという男性たちに対しても、憤りはあっても、千晶さん自身がそんなに気にしてないというのなら、訴える気もないというのなら、干渉するのも違うと思う。


ああ、本当に感情がぐちゃぐちゃになりそうだ。


「パパ?。よしよし」


ついつい険しい表情になってたのか、玲緒奈れおなが僕の頭を撫でてくれた。そんなこの子を見るからこそ、『どうして千晶さんのところに……』って思ってしまうんだよ。



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