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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2321/2601

二千三百二十一 SANA編 「対処は簡単だよ」

十一月四日。金曜日。晴れ。




自分の娘が妊娠してもまったく関心を示さず、それこそ孫が生まれても、


『知らない。勝手にしろ』


みたいに言ってくれる親だったら、逆に僕たちにとっては対処は簡単だよ。僕たちが育てていけばいい。これについて、絵里奈と玲那も、


「世の中で起こってる事件にまでこちらから首を突っ込むことはできませんけど、私たちのすぐ身近で起こったことなら、力になりたいと思います」


「まあね、パパちゃんが沙奈子ちゃんや私のことを自分の子供として育ててくれてるのを考えたら、そんなに難しいことじゃないってのが分かるよ。織姫だって結人ゆうとのことを育ててるしさ」


と言ってくれるし、沙奈子まで、


「うん、私も、私の友達がそんなことになったら知らないふりするのは嫌」


って言ってくれた。


そうだよね。絵里奈だってご両親とは上手くいってなくて、個人で一時預かり所を営んでる叔父さんが親代わりになってくれてたし、玲那は絵里奈と香保理かほりさんが親代わりみたいなものだった。そして沙奈子も。


鷲崎わしざきさんだって結人くんが六歳の頃からずっと育ててきてる。


山仁やまひとさんは、波多野さんや千早ちはやちゃんのことも受け入れてきた。


そして今は、一真かずまくんと琴美ことみちゃんも、実質的にはここで育ってるみたいなものだよね。


『血の繋がってない子供のことなんて可愛いとか思えるはずがない』


みたいに思ってる人には無理でも、僕たちの間ではごく当たり前にできてきたことなんだ。だから今さら一人や二人増えたところで、そんなに大きな問題じゃない。ある意味じゃ、『ノウハウ』が蓄積できてる感じかな。


『血の繋がった自分の子供』とか、『血の繋がらない他所の子供』とか、そういう括りじゃなくて、『人間』として見れば別に難しいことじゃないっていうのが今なら分かるよ。


あくまで、そういうのができる気がしないっていう人は無理をしなくていいって思うだけ。そういう人が無理をして親の役目をしようとしても、上手くいく可能性は限りなく低いだろうなって思うだけ。


僕が沙奈子を育ててこれたのも、たまたま上手くいっただけだから、他の人も上手くいくなんて軽々しく言えないし、推奨もできない。あの時に僕がやった危うい綱渡りを誰かにさせようとも思わないんだ。と言うか、しなくて済むならしない方がいいと思ってる。無理してやって取り返しのつかないことになったらそれこそ誰も幸せにならないだろうしさ。


とにかく簡単なことじゃないんだって実感しかない。子供が子供を生むという話は。僕たちはよくても、やっぱり篠原さんのご両親がそれを許すとは思えない。


堕胎するとしても、篠原さんの体にも精神にも大きな負担になるだろうし。それが分かってて目先の感情だけで『愛』だのなんだの言うのは違うんじゃないかな。



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