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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2319/2601

二千三百十九 SANA編 「篠原さんの選択は」

十一月二日。水曜日。晴れ。




篠原さんは今日も来ない。もうこのまま来なくなるのか、それとも自分の気持ちに踏ん切りをつけて来るようになるのかは、あくまで篠原さん自身が決めることだと思う。千早ちはやちゃんは彼女に寄り添うようにしてくれてて、またいつでも人生部の活動に戻ってこれるようにしてるみたいだけどね。


人生部としての活動はできなくても、そうやって自分を見てくれる人がいるだけでもかなり違うんじゃないかな。篠原さんは、ほとんど人と関わることができなかった中学の頃までの自分を変えようとして『高校デビュー』を図って大失敗。さらに心折れてしまいそうになったところに千早ちゃんが助け舟を出してくれたことでなんとか持ちこたえてる状態みたいだ。


だから余計に、人生部の活動に期待し過ぎてしまったのかもしれない。『自分のことを受け入れてもらえる』というのを、『なんでも自分の意見が通る』『自分と同じ考え方の人の集まり』みたいに思ってしまっていた可能性はあるんじゃないかな。


だけど実際には、『相手に受け入れてもらえる』というのと、『相手がなんでも自分の言いなりになってくれる』というのとは全然違うんだ。そんなことは実際には滅多にあることじゃない。『受け入れる』というのと『言いなりになる』というのは違うんだよ。『相手の言葉に耳を傾ける』のと『相手の言いなりになる』のとは違うんだ。


昔は僕もそれを混同していたりもしたけど、自分が親になったからこそ『そうじゃない』というのが分かった。沙奈子や玲緒奈れおなのことを我が子として受け入れていても、僕とは別の人間として認めていても、『何もかも言いなりになる』なんてことはできないんだよ。僕は『沙奈子や玲緒奈とは別の人間』だから。別の人間はその人にはなれないし、その人にとってすべて都合のいい存在にはなれない。そんなことをしようとしたらいつか破綻する。


いわゆる『都合のいい人』というのがいつまでもそのままでいられるとは限らないのは分かっていることだよね?。だから『結婚した途端に変わった』とか『熟年離婚』とかいうのがあるんじゃないの?。どうしてその現実から目を背けてるの?。その現実を見ればこそ、


『自分の子供だからって親にとって都合のいい存在でいてくれるわけじゃない』


ってことも分かると思うんだけどな。僕はその現実を認めるからこそ、篠原さんの選択は篠原さん自身のものだって思うんだよ。その一方で、千早ちゃんか彼女に寄り添っていたいと考えるなら、それはまた千早ちゃん自身の選択だよね。



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