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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千三百十八 SANA編 「頑迷で激しい気性も」

十一月一日。火曜日。雨。




いよいよ十一月。今年もあと二ヶ月か。玲緒奈れおなも二歳を過ぎてますます活動的になってきてる。散歩をする時も一瞬も気を抜けない。興味のあるものを見付けた瞬間にすっ飛んで行こうとする。僕は、そんな彼女をなるべく好きにさせたいと思う。思うからこそ安全には気を付けなくちゃと思うんだ。


「自転車来てるよ。ちょっと待ってね」


言いながらその場にしゃがんで彼女を抱き締めるようにして安全になるまで待つ。一緒に待つ。そうして安全を確認した上で、


「自転車とかクルマとか来てないかな?」


問い掛けるみたいにして声を掛けると、


「よし!」


玲緒奈は右見て左見てってして声を上げて、行きたい方向に行くんだ。玲緒奈の要望には応えたい。それと同時に、ちゃんと危なくないように周りに気を付けるのを、彼女と一緒に実践する。


こうやって手本を示していくんだ。言葉で説明したって確かにすぐには分かってくれないと思う。でもね、玲緒奈は玲緒奈でいろいろ考えてるのも分かるんだよ。この子は決して僕のことを蔑ろにはしてない。


「パパ!。パパ!」


って言って僕のことをいつだって見てくれる。ちゃんと気にしてくれてるんだ。まだ小さいからそれが上手く分かりやすいようにできないだけ。興味があるものを見付けてしまうとついついそっちに意識が集中してしまうだけ。僕がそれを分かっていれば思うほど勝手なことをしてるわけじゃないっていうのも感じられる。


親バカかもしれないけど、この子は確かに頭もいい。いろんなことを考えてる。いろんなことを理解しようとしてくれてる。一朝一夕にはいかないから時間が掛かるっていうだけ。僕は親としてそれを分かっていたい。


待ってほしい時には、こっちもしっかりと視線を合わせてお願いするんだ。怒鳴って従わせようとはしない。僕がそんなことをしてたらそれを真似してしまうと思う。相手を従わせようとする時には怒鳴って大きな声を出して一方的に命令すればいいって学び取ってしまうよ。きっと。


イチコさんも大希ひろきくんもそんなことはしないけど、すごく頑固で意志が強い面もある。おとなしそうにしてるのは、あくまで二人の一面というだけ。これは沙奈子もそう。僕と引き離されるのを拒んで自分の体を容赦なく傷付けることができてしまうくらいには頑迷で激しい気性も秘めてるんだ。そういう自分と上手く折り合って生きていくために必要な手本を示さなきゃってすごく思う。それを怠っていてなにが『親』なんだろうね。



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