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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千三百十七 SANA編 「我慢した方がいいと」

十月三十一日。月曜日。晴れ。




僕たちの考え方と噛み合わないのに加えて、大希ひろきくんが自分と付き合ってくれる可能性が見込めないことでいづらくなったらしい篠原さんは、人生部には顔を出さなくなってしまった。


だけど同時に、千早ちはやちゃんとの交友は続けたいみたいで、塾や習い事に行くまでの時間、学校で彼女と一緒に過ごすことにしたそうだ。


「上手くいかないもんだなあ……」


一真かずまくんが残念そうに口にした。その上で、


「俺は人生部での活動は、すごく助かってる。琴美ことみがここで安心した様子になれてんのがマジで嬉しいんだ」


とも。それに対して結人ゆうとくんが、


「だよな。琴美もなんかホッとした顔してるって俺も思う」


琴美ちゃんが自分にべったりとくっついたままで漫画を読んでるのを見ながらそんなことを。そして、


「でも、恋愛とかが絡んでくると途端に面倒くさくなんのな。勘弁してほしいぜ」


だって。


確かに。結人くんに対して琴美ちゃんが強い好意を抱いてるのは確かだろうけど、今のところは別に他の誰かと衝突する感じにはなってない。沙奈子と結人くんはいい感じのような気もしつつ、だからってお互いに異性として意識してるかと言われたらそんな印象もまったくない。お互いに『大事な友達』って感じなんだ。


でも篠原さんの場合は、あくまで異性として大希くんに想いを寄せてたみたいだね。そしてできれば深い関係にもなりたかった。


それが、愛情に飢えていたことが影響しているんだとしても、好意を抱くこと自体をやめさせるのは違うだろうとは僕も思う。


だけど同時に、もし今の時点で『セックス』まで考えてるんだとしたら、諸手を挙げて応援もできないんだ。どんなに避妊を心掛けていても、百パーセントということはない。そしてもし、子供ができてしまった場合に責任が取れるのか?って言えば、まったくそんな印象もない。堕胎にするにしても子供を生むにしても、それに必要な費用を彼女も大希くんも用意できないはずだよね。親に出してもらうことになるはずだよね。


しかも、篠原さんは、親に構ってもらえてはいないけど、彼女が塾や習い事をいくつもしているというのは、ご両親としても、形はどうあれ大事にしようとは思ってくれてるんだろうなって気もする。そんな篠原さんを妊娠させたりしたら、大希くんも大変なことになるんじゃないかな。


そういうことを考えれば、少なくとも成人して自分の考えだけで自分の生き方を決めることもできるようになってないうちは我慢した方がいいと思うんだ。篠原さんが大希くんのことを本当に想うのならね。



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