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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千三百十六 SANA編 「そんな気ないのに」

十月三十日。日曜日。晴れ。




大希ひろきくんは、穏やかそうに見えて頑固な一面も間違いなくある。これは、彼が中学三年の時に見せた、


『将来の目標とかを見付けられていない自分自身が許せない』


という形で自己嫌悪に陥ってた時に改めてはっきりしたことなんじゃないかな。だから星谷ひかりたにさんに対して明確な態度を示さないのも、決して『曖昧にしてる』からじゃなくて、本当に『今の時点ではそういう風に見ていないからはっきりさせようがない』だけなんだと思う。そういう風に見ていないのに気があるような態度を取るとか、逆に嫌いってわけでもないのに素っ気ない態度を取るとか、なんておかしいと思ってるだけなんだろうな。


今の時点での正直な気持ちなんだって気がする。彼にとっては。


そして同時にそれは、篠原さんに対しても、別に異性として意識してるわけじゃないからそういう風には見られないし、星谷さんとのことも、


『お世話になってる親しいお姉さんとして慕ってる』


というのをはっきりさせてるだけなんじゃないかな。だけど篠原さんにとってはそれがつらい。


本当に人間の心理って難しいね。大希くんは篠原さんのことも受け入れてくれてるはずなのに、それは篠原さんが望んでる『受け入れ方』とは違ってて、噛み合わないって感じなのかな。


別に、大希くんも篠原さんも何も悪くないと思うんだけど……。


でも、どちらも悪くないからこそ、上手くいかないのなら無理をせずに距離を取った方がいいのかもしれない。


千早ちはやちゃんは、朝から篠原さんの家に行ってるそうだ。そして、篠原さんが習い事に行く時間になって、戻ってきた。


「いやあ、人間関係って難しいですな」


と苦笑い。これも、篠原さんのことを、


『甘ったれてる!』


みたいに言う人はいるだろうけど、千早ちゃんとしては、


「まあね。優佳も孤立してたからさ。つらいんだよ。私も孤立してたのは同じだった。私の場合は割と周りに対して好き勝手言えてたけど、でもその所為で沙奈やヒロには嫌な思いもさせちゃったし、良くなかったよ。優佳はその点、誰かに当り散らしたりはしてないからさ、私よりはマシなんじゃないかな」


ということだった。沙奈子も、


「せっかく友達になれたのにね……」


一緒に人生部の活動ができないことは残念みたいだ。すると結人ゆうとくんは、


「だからってお情けで付き合うってのも違うんじゃねえか?。俺はそんなの逆にバカにしてるって気がするけどな」


きっぱりと言ってのけて。


これに大希ひろきくんも、


「僕も結人の考えと同じかな。そんな気ないのに付き合うふりをするって、なんか違う気がする」


だって。



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