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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千三百十三 SANA編 「性的同意年齢」

十月二十七日。木曜日。曇り。




性的同意年齢が十三歳から十六歳に引き上げる検討がされてるらしいね。僕はこれには大賛成だ。ただ、沙奈子や千早ちはやちゃんはもうすでに十六歳だからその年齢に達してるけど、本人にはまったくそんなつもりはないみたいだ。


「正直、そんなの気持ち悪いだけだっての」


「うん、私もそう思う」


千早ちゃんと沙奈子はきっぱりとそう言った。すると大希ひろきくんも、


「僕も、興味がないって言ったら噓になるけど、実感ないな」


って言って、結人ゆうとくんは、


「俺も虫唾が走るってもんだ。あいつら思い出すしよ」


吐き捨てるように口にして、一真かずまくんは、


「俺も、自分の親のこと考えたらゾッとする。嫌悪感しかない」


とのことだった。大希くん以外は、そういう部分に理性を持たない大人を親に持ったことで嫌悪感が先に来るみたいだね。


正直、僕もそうだった。僕の両親はその辺りは『普通』だったかもしれないけど、『親』としてのあの人らには嫌悪感しかないから、昔の僕は自分自身が親になること自体を忌避してたんだというのが実感としてある。だからそれに繋がる性的なことに対しても強い嫌悪感があったんだろうな。他人を信用していないのに加えて。


だけど皮肉なことにそれが沙奈子に対してある種の距離感や冷静さを持たせる形になったのは、むしろ幸いだった気もする。おかげであの子が一緒にお風呂に入りたがったり僕に触れたままで一緒に寝ることがあっても逆に傷付けるようなことにならずに済んだ面もある気がするから。


そんな僕でも、相手が絵里奈だったらちゃんと『そういう気持ち』にもなれる。『そういう気持ちになれる相手』を見付けられればなんの問題もないし、そういう気持ちになれる相手を見付けられないんなら別に無理してそんなことをする必要もないよね。


加えて、たった数年を我慢できないような人に『誠意』なんてものがあるとは僕はまったく思わない。そんな人に沙奈子や玲緒奈れおなを任せることなんてできないよ。


何より、まさしくその『我慢ができない大人』の犠牲になってきたのが玲那だ。そして玲那は、今でも『自分を買った客』を全員探し出して殺してやりたいという気持ちを持ち続けてる。それが何よりの『実感ある根拠』なんだ。


ただその一方で、


「私は、好きな人とだったら別にいいんじゃないのかなって思う……」


篠原さんはそんなことを口にしてた。


面と向かってそれを批判するつもりは僕にはないけど、ただ、今の篠原さんが果たしてそういうことをして自分の行いに対して責任を持てるのかな?って考えたら、まるでそんな気がしないというのも正直なところなんだ。



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