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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
2303/2601

二千三百三 SANA編 「僕たちの基準」

十月十七日。月曜日。雨。




『狡い人が得をするというのはもっと納得いきません』


という洲律すりつさんの意見ももっともだと思う。だけど、だからこそ、僕たちと面識があるからといって彼女をあまり特別扱いしようとしてないのもある。そういうのも、他の人からしたら『狡い』と感じるだろうしね。


その一方で、『親しくしてるんだからそれだけ何かメリットがあってもいいんじゃないかな?』とは思ってしまったりもする。するんだけどそこはやっぱり、敢えて抑えた方が、洲律さん自身が他の人から妬まれたりっていうのを回避することにも繋がる気がするから、自制してるというのもあったり。


この辺りの公私混同みたいなのは、線引きがなかなか難しいね。だけど分けるべきところは分けないと、


『友達なんだからタダで譲ってほしい』


『友達なんだからタダでやってほしい』


みたいなことになっても困るし、


『親しき仲にも礼儀あり』


ということで。『友達なんだからタダで譲ってほしい』『友達なんだからタダでやってほしい』なんてことを強要してくるような人とはむしろ距離を取った方がいいと思う。水族館にハイヤーで行く時に、千早ちはやちゃんや大希ひろきくんや一真かずまくんや琴美ことみちゃんを一緒に乗せていくのは、あくまでも『人生部の活動』という名目もあってのことだから。一真くんと琴美ちゃんの分の年間パスポートを星谷ひかりたにさんが負担したのも、やっぱり『人生部としての活動』のためだから。


これまた線引きが難しい話ではあるものの、難しいからといってあまりなあなあにするのも、沙奈子たちに示す手本としては好ましくないと感じる。だから難しくても線引きは行わなきゃね。


そしてこれはあくまで僕たちの基準。他の人がどういう基準を設けるかはその人の裁量の問題だと思うから、口出しするつもりもない。口出しされたら嫌なんだよね?。だから口出ししない。その代わりに、他の誰かが口出ししてきても聞き入れるつもりもないけど。


自分の責任において自分で考えて判断して決断する。


自立するためにはそれができる必要があると思う。そういうのもなしで『自立してる』というのはおこがましいとしか思わない。沙奈子たちにもそれは分かってもらわないとね。そのための手本を示さないとね。大人が手本を示さないとね。


僕たちはそれを心掛ける。


『難しいことなんか考えてられない』


なんて泣き言は口にしない。難しくても考えなきゃいけない時は考えなきゃいけないはずなんだ。自分が考えなかったら他の誰かが考えることになるし、他の誰かが考えたことに従わなきゃいけないことになると思う。



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