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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千二百九十九 SANA編 「ちょっと嫌だな」

十月十三日。木曜日。晴れ。




最近、『受け取り希望』みたいなのがSNS上で横行してるらしいね。『お金を配るので受け取りを希望する人は連絡ください』みたいなの。


だけどそういうのって、口座番号を教えたら特殊詐欺の振込先に利用されたり、そこまでじゃなくても口座番号とかの情報を売られたり、『簡単に騙される人のリスト』としてまとめられて悪用されたりってことがあるらしい。


確かに、普通に考えたらおかしいと思うんだろうけど、


「こんなことがあるから、気を付けてね」


人生部としての活動をしてる沙奈子たちに、ビデオ通話の画面越しにそう話し掛けておいた。そしたら、


「うん、分かった」


沙奈子が頷いてくれて、


「了解です!」


千早ちはやちゃんが敬礼してくれる。大希ひろきくんも結人ゆうとくんも一真かずまくん篠原さんもそれぞれ、


「ですよね~」


「そんな旨い話あるわけない」


「だよなあ」


「ホント嫌ですよね」


だって。


僕たちは誰かを傷付けることはしたくないし沙奈子たちにもしてほしくないけど、だからって誰かをまったく無条件に信じるというのも違うと思ってるんだ。


だから、僕は言う。


「人間は、悪意だけじゃなく善意でも嘘を吐くことがある。本当のことを言わない場合がある。それ自体が『人間だから』だと思う。だったら、誰かを無条件に信じるっていうのは、『その人のことを人間として認めてない』ってことでもあると思うんだ。相手を人間だと思えばこそ、『その人の言葉がすべて本当とは限らない』というのを忘れちゃいけないと僕は思ってる。みんなにもそれは分かっててほしい」


大人としてこういうことをちゃんと伝えるのも、『人生部の活動』の一環だった。人間としての人生のあらゆることを考えるのが活動の趣旨なら、当然だよね。


それに対して千早ちゃんは、


「うん。分かります。私だってホントのことしか言わないわけじゃないですから。沙奈のことだってヒロのことだって結人のことだって一真のことだって優佳のことだって、ホントのことしか言わないと思ってない。嘘って言うか、ホントのことを言いにくい時とかありますよね。みんな優しいから相手が傷付くと思ったらホントのことを言わない時だってあると思う。そういうのもちゃんと分かってないとダメだって、私も思うんです」


と言ってくれた。その彼女の言葉に、沙奈子も、大希くんも、結人くんも、一真くんも、頷いてくれる。


ただ、篠原さんだけは、


「だけど、私はそういうの、ちょっと嫌だな……。信じてもらえてないって思うと、なんか、嫌……」


納得いってないみたいだった。



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