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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千二百九十五 SANA編 「ほどほど」

十月九日。日曜日。雨。




緊急事態宣言が解除されたことで水族館も再開されて、沙奈子たちは昨日、水族館に行ってきてた。一真かずまくんと琴美ことみちゃんのために、星谷ひかりたにさんが手配したハイヤーを使って。


今はこれも、『沙奈子と結人ゆうとくんのための研修』という意味で『SANA』の業務の一部という名目になってる。千早ちゃんや大希ひろきくんや結人くんや一真くんや琴美ちゃんはあくまでついでに同乗してるだけ。それもあって、玲那が休日出勤という形で同伴してるんだ。


「ま、琴美ちゃんを沙奈子ちゃんたちに押し付けるわけにもいかないしね」


ということでもある。


一方、絵里奈は、土日はそれこそ玲緒奈れおなにべったりだ。平日は『SANA』の仕事があって一緒にいられない分を取り戻すために。


朝、絵里奈が仕事に行く時もぐずったりしない玲緒奈だけど、絵里奈のことはちゃんと好きなんだよ。文字カードや絵描き歌を使った『幼児学習』についても、『ママとの遊び』として楽しそうにしてくれてる。今も、動物の絵が描かれたマグネットシートを使ってホワイトボードに模様を作る遊びを夢中になってやってた。『学習』と言っても知識を押し付けるんじゃなくて、どこまでも遊びとしてそれをするだけだ。楽しくできないと好きでいてくれないからね。


これは結局、


『勉強は楽しいもの』


という印象を持ってもらうためにやってることなんだ。知能を高めるのが目的じゃない。そうしてるうちに結果として知能が高まってくれるのならそれは儲けものだけど、そちらを目的にしてしまったらきっと玲緒奈が気乗りしてなくてもやらせようとしてしまう気がするんだよ。


だから、玲緒奈が飽きてきた様子が見えたら、


「そろそろ終わりにした方がいいかもね」


僕が声を掛けるようにしてる。絵里奈としてはついついカリキュラムをこなすことに集中してしまって、玲緒奈の様子にまで意識が向かないことがあるから。


これは決して絵里奈がダメだってことじゃないんだ。彼女は集中してるだけ。玲緒奈のためにと思ってね。ただ、その、『玲緒奈のために』というのが行き過ぎるとかえって負担になってしまう。そうなると玲緒奈も楽しくなくなるし、玲緒奈が乗り気になってくれないと絵里奈も苛々してしまうかもしれない。そしてそんな二人の様子を見てたら僕もいい気がしない。誰も幸せにならない。


そのためにも『ほどほど』を心掛ける。そのほどほどを見極めるためにも第三者の視点として僕が見てるんだ。それが大事だと思う。


それに、苛々してたらついつい態度とか言葉も荒くなるだろうしね。絵里奈や僕のそういう姿を見て玲緒奈が真似をしたら嫌だから。



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