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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千二百九十 SANA編 「相手の言葉に」

十月四日。火曜日。晴れ。




『子供は口で言っても聞かないから叩かなきゃいけない』


みたいなことを言ってる人を見ると、僕はすごく残念な気持ちになる。だって、怒鳴ったり叩いたりしてる人って、しょっちゅう怒鳴ったり叩いたりしてないかな?。普通に言っても聞かないから怒鳴ったり叩いたりしてるらしいけど、そうやって何度も怒鳴ったり叩いたりしなきゃいけないって、


『怒鳴っても叩いても聞いてない』


ってことだよね?。


玲緒奈れおなは、怒鳴ったり叩いたりしなくても、結構、言うこと聞いてくれるけどな。もちろん、聞いてくれないこともあるけど、何度も怒鳴ったり叩いたりしてるのとそんなに違わないと思う。


それに、小さい子は何か興味を引かれることがあったらそっちに意識が集中してしまって他のことが頭から抜け落ちてしまうのは普通なんじゃないかな?。だったらいくら怖い思いさせたり痛い思いさせても、その瞬間に頭から抜け落ちてしまってたら同じだと思うけど?。


とにかく、まず先に親の方が子供の言葉に耳を傾ける姿勢を見せてこそ、子供の方も親の言葉に耳を傾ける姿勢を学べると思うんだけどな。『手本』も示さずにどうして『相手の言葉に耳を傾ける姿勢』を身に付けられると思うんだろう。


確かにそれこそ言葉そのものを理解できない時期には言葉で言っても通じないかもしれないけど、そういう時だってちゃんと顔を見て目を見て『なあに?。どうしたの?』と穏やかに声を掛ければだいたいは意識を向けてくれたけどな。


相手の言葉にまったく耳を傾けようとしない人って、誰からそんな姿勢を学んだんだろう?。『コミュニケーション能力』なんて、あくまで『コミュニケーションの取り方』という技法がその大半を占めてるっていう気しかしない。


『相手の言葉に耳を傾けること』


『相手が伝えようとしている意図を理解しようとする姿勢を示すこと』


そうすれば、そもそも相手にこちらの言葉に耳を傾ける気がない場合以外はある程度のコミュニケーションだって取れるはずなんだけどな。


僕が上手く他人と話せなかった頃は、そもそも僕自身が相手の言葉に耳を傾ける気がなかったのが、今ならよく分かる。最初から、


『関わりたくない』


という姿勢が表に出過ぎてたのが分かるんだ。そんな態度の人間となんて、相手としてもまともにコミュニケーションを取ろうって思ってくれないよね。


沙奈子もそう思われてるみたいなんだけど、でも実際は、相手の言葉には耳を傾けることができる子なんだよ。


今はね。



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