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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千二百八十九 SANA編 「私らのため」

十月三日。月曜日。曇り。




来週の火曜日からは、沙奈子たちが通う高校の中間考査がある。けれど、沙奈子たちはまったく余裕だった。いつも通りに自主勉強をしてるだけで、なにか改めてテスト勉強みたいなことはしていない。それでも、沙奈子と千早ちはやちゃんと大希ひろきくんは全体でも上位グループには入ってるらしい。結人ゆうとくんは中の上、一真かずまくんはかろうじて合格できたレベルだったのが、下の上まで成績が上がってきたって。


「最近、勉強が楽しいと思えるようになってきたんだ。分からなかったことが分かるようになるって、なんかいいな」


と本人も言ってたらしい。そうだね。まさにその通りだと思う。僕が高校の頃は、ただただ早く家を出て両親や兄を捨てたかったからやってただけで、『楽しい』なんてまったく感じたことはなかった。正直、ただの苦行だったと思う。だけど、一真くんが勉強を楽しめるようになったのなら、こんな喜ばしいことはない。しかも琴美ことみちゃんもぐっとテストの点数が上がったって。


「これも千早たちのおかげだよ。本当に感謝してる」


一真くんがそう言ったのに対して、


「な~に言ってんだよ。こうやってみんなでやんのが楽しいんじゃん。私らのためってだけだよ。そのついでに一真や琴美ちゃんの成績が上がったんなら儲けものってだけ。感謝されるようなこっちゃない」


『にしし♡』って感じで笑いながら千早ちゃんは応えてた。すると沙奈子や大希くんも頷いて、結人くんもそっぽは向いてるけど満更でもなさそうだった。


ビデオ通話越しにみんなのそんな様子を見届けて、僕は玲緒奈れおなの散歩に行く。ここしばらく、日が暮れると肌寒いくらいに涼しかったから昼の間に散歩に行くようにしたんだけど、また少し昼は気温が上がってきた感じだったから、日が傾きだした頃に散歩に出るようにしたんだ。そして今も、『子供用ハーネス』は使ってる。今もまだ、時々、僕の手を振り切って走り出したりしそうになるから。


いくら「危ないよ」と言い聞かせても、「うん!」と返事してくれてても、何か興味を惹かれるものを見付けてしまうとそういうのが頭から吹っ飛んでしまうんだろうな。それがある限りは、僕は用心を怠らないでおこうと思う。しかも、ほんの一瞬、目を離した隙に勝手にどこかに行ってしまうということも十分に有り得るし。


もう少ししたら、『新型コロナウイルス感染症』のことが落ち着いたら、玲緒奈もつれて買い物にも行ってみようと思ってる。今は絵里奈と玲那が仕事帰りにスーパーに寄って買い物を済ませてくれてるけど、玲緒奈にもっといろいろなものを見せてあげたいしね。



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