二千二百八十七 SANA編 「完璧にはなれない」
十月一日。土曜日。晴れ。
『新型コロナウイルス感染症』の感染者が急激に増えたことで出されていた緊急事態宣言が全国で解除された。だけど、世の中的にはかなり不満が募っているらしくて、『うんざり』という空気感が漂ってる気がする。あまり政府の言ってることを真に受けてない人も増えたのかもね。
でも、僕たちはあくまで用心として感染予防対策については続けようと思う。それが完璧に感染を防いでくれるとは限らないとは承知しつつ、今回の『新型コロナウイルス』の感染力の強さは大変なものだとは感じつつ、だからといってルーズなことをしようとも思わない。ルーズでいていいのは自分にだけその結果が降りかかってくるものだけだと感じる。
ましてや、『自分が楽をしたいから狡いことをする』なんていうのは、親として子供に顔向けできない。そんなことをしていて子供に偉そうに説教なんかできるはずがない。そんな親に説教されて子供としても納得できなくて当然だと思う。なにしろ当の親自身が『狡いこと』をしてるんだからね。そしてそう思うなら、沙奈子や玲緒奈や千早ちゃんたちの前で『狡い大人』でいないように心掛けなきゃおかしいよ。
もちろん、何度も言うように大人だってただの人間で完璧なんかじゃないから、手を抜きたくなることとかサボりたくなることとかもあると思う。でも、そうやって『大人だってただの人間だから』と言い訳をするのなら、子供に完璧を求めるのは筋違いなんじゃないのかな?。自分は『ただの人間だから』と言い訳をして手を抜いてサボってってしてるのにどうして偉そうにできると思うんだろう。そんなことをしててどうして尊敬してもらえると思えるんだろう。それが不思議で仕方ない。
僕も決して完璧にはなれないから、沙奈子や玲緒奈に対して完璧でいることなんて求めないよ。それと同時に、できることはやろうとする姿勢は大事だから、じゃあ僕自身がその手本を示さなきゃと思うだけだ。
何より、『相手を敬う姿勢』というものを親が子供に示さなくて、それでどうやって子供がそういう姿勢を学べると思うの?。学校で教わるとでも思うの?。本当なら親がするべきことを学校の教師に押し付けようとするその考えがそもそも『狡い』と思うんだけどな。だって自分がこの世に送り出した人間だよ?。自分の子供はね。その張本人である親が手本を示さないでどうするの?としか思わない。勝手に子供をこの世に送り出しておいて人間として生きていくための手本も示さないのなら、親なんて要らないとしか思わないけどな。




