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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千二百八十三 SANA編 「親子してるなあ」

九月二十七日。火曜日。晴れ。午後から雨。




そうして、二歳の誕生日に初めてケーキを食べた玲緒奈れおなだったけど、実はこの後が大変だった。そのあとも二欠片。合計三つのケーキの欠片を食べた玲緒奈は、そこで興味が失せたみたいにプイっと顔を逸らしてしまったから、


「もう、ごちそうさまかな?」


尋ねると、


「ん……!」


って。いつもの玲緒奈の食欲なら全部食べてしまいそうな勢いだったと感じたんだけどね。彼女にはまだ味が濃かったかな。それで三欠片食べたら『もういい』ってなったのかもしれない。


『せっかく作ったのに!』


とは言わない。全部食べてもらえなかったのは残念でも、絵里奈も、


「ちょっと好みに合わなかったのかな」


少し残念そうに口にしたけど、今はまだいい。


そうして玲緒奈は壁を背にして座って、自動車の玩具で遊び始めた。だけど、しばらくすると、手とか顔をポリポリと掻き始めた。


「え?」


と思ってみると、顔も手も、湿疹だらけで。


「あ、玲緒奈!。大丈夫!?」


思わず声を上げてしまって、


「え?」


ミニキッチンで片付けをしていた絵里奈もただならぬ様子に戻ってきて、


「なにこれ、湿疹!?」


慌てた様子で。


だから僕たちは、そのまま玲緒奈を小児科に連れて行って。


「たぶん、ケーキに使われていた牛乳か卵に反応したんでしょう。初めての時にはよくあることです。熱もないしそれほど強い反応も見られないですから、すぐに収まると思いますが、一応、痒み止めの軟膏を出しておきますね」


医師せんせいはそう言って、軟膏を処方してくれた。


「う~……!」


玲緒奈は体の痒みが不快らしくて、すごく機嫌が悪かった。それでも、家に帰って軟膏を塗るとマシになったのか、また元気に遊びだした。


湿疹そのものは残ってるけど、まだ時々痒いのかポリポリ掻いてるけど、どうやら大丈夫そうだ。


「大丈夫だとは思いますけど、念のため、注意して様子を見ておいてあげてください」


と言われたから、僕と絵里奈と玲那と沙奈子とで、いつも以上に注意して見守る。


「やっぱり、こういうこともあるんですね」


絵里奈が少し落ち込んだ様子で口にする。


「うん。でも、あんまり心配し過ぎてもきっと仕方ないんだと思う。初めて食べるものとかにはこうやって反応が出ちゃうこともあるんだろうね」


「そうそう。そういうことだよ、きっと」


僕と玲那が言うと、


「そうですね……」


とは言うものの、ショックは隠しきれないようだった。そんな絵里奈を、


「ママ……」


沙奈子が気遣ってくれる。体をさすってくれている。


ああ……、ちゃんと親子してるなあ……。



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