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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千二百七十三 SANA編 「僕の趣味は」

九月十七日。土曜日。曇り。




今日も土曜授業があるから沙奈子たちは昼まで学校だ。


一方、絵里奈と玲那は、『SANA』は休みでありつつ次に発表するドール用のドレスについて検討してた。すると玲緒奈れおなが、沙奈子が作ったドレスが表示されてる画面を指差して、


「かわいい!」


って声を上げた。果たして分かってて言ったのかどうかは分からないけど、


「玲緒奈もこれがいいと思う?」


「さすが玲緒奈!。天才!」


実は、絵里奈と玲那も最終の候補として考えてたものだった。イチコさんと田上たのうえさんにも見てもらって絞ったものの一つでもあった。だから、


「よし、次はこれで行こう」


「うん、いいと思う」


ということで決定する。決して玲緒奈に本当にドレスの良し悪しが分かってるとは思わないにしても、


『どれもよくて一つに決められない』


って時にはこういう決め方もアリなのかもしれない。そして他のデザインについては次回以降の候補に持ち越しつつも、沙奈子が次々いいのを出してくるから、没案が復活したことはこれまでほとんどなかったって。


「どれもこれも全部、商品にできればいいんだけどね」


絵里奈が口にすると、玲那も、


「私もマジそう思う。でも、今の『SANA』の規模じゃそれは難しいよね~」


残念そうに肩を竦めた。だけどそれはある意味、贅沢な悩みかもね。それだけ沙奈子がいいものを作り出せる力があるということだから。


ただ同時に、エプロンドレスの件でも分かったけど、技術という点に絞ると、あくまでドール用のドレスのそれに特化したものだというのも事実。確かに、沙奈子のドレスについて、


『よく見たら縫製がちゃち』


『子供が作ってんのかと思った』


とか言ってる人もいるそうだ。あくまで『粗探し』レベルの難癖らしいけど、ドールのドレスとしてはそこまで気にする必要もないらしいけど、沙奈子としては納得はいってないみたいだね。


だからこそ、洋裁の技術全般を磨くために専門学校に通おうと決心したんだし。


僕は親として、我が子の向上心を応援したいと思う。そして今ならそれができる。世帯年収として一千万円を大きく超えてこたことで公的な支援はほとんど受けられなくなったのもありつつ、何のためにみんなで働いてるのかって言ったら、沙奈子や玲緒奈に、自分の人生を自分で生きられる力を付けてもらうためだというのが一番なんだ。僕は別に贅沢がしたいわけじゃない。


僕の『趣味』は、


『沙奈子や玲緒奈の成長を見守ること』


だよ。アニメやアイドルに入れ込んでる人たちがアニメやアイドルに入れ込んでるのと同じように、沙奈子や玲緒奈に入れ込んでるだけだ。それが他者からは無価値に見えても、関係ない。



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