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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千二百七十二 SANA編 「本当にいい友達に」

九月十六日。金曜日。晴れ。




今日も沙奈子たちは学校から帰ってきて、人生部としての活動をしてる。沙奈子と千早ちはやちゃんと篠原さんはエプロンドレスを着て。


だけど、


「ありゃ、ほつれてる」


千早ちゃんが自分のエプロンドレスの裾を見て言った。それに対して沙奈子は、


「ああ……、やっぱり。弱かったね……」


自分の縫製技術の拙さを思い知らされて、軽く凹んでた。すると篠原さんは、


「でも、元々、文化祭の間だけもてばいいってことで作ったんだよね?。十分だと思うけど」


と言ってくれた。そう言ってくれた後で、


「あ、ごめん、行かなきゃ」


習い事に行くために三畳間に入って着替えたら、


「あ……!」


って声を上げたのが二階にまで届いてきた。


「どした!?」


千早ちゃんが三畳間のドアを開けて声を掛けたのも聞こえてくる。そこから先はさすがに聞こえなかったけど、どうやら篠原さんが着てたエプロンドレスの袖がちぎれそうになったみたいだ。


「ごめん!。ホントにごめんね!」


謝りながら習い事に向かう篠原さんの声もしっかりと聞こえた。


それからは、ビデオ通話の画面の中で、


「うん、大丈夫」


沙奈子が手を振って見送って、


「やっぱり未熟だな……」


言いながら自分の技術不足を悔やんでた。だからこそ、もっとしっかりと洋裁の技術を学びたいと、千早ちゃんのと篠原さんのを補修しながら改めて思ったらしい。


「まあそうだな。これはお遊びで作ったもんだからどってことないけど、商品でこんなことあったらクレームもんだもんな。私もケーキでヘマしたらガチ凹みすると自分でも思う」


千早ちゃんも苦笑い。


「だね。だからこそこうやって先にいろいろ試して、課題を見付けるってのも大事なんだと僕は思う」


大希ひろきくんが言うと、


「まあな。問題点ってのが今のうちに分かって良かったってことだろ」


結人ゆうとくんも、ぶっきらぼうな感じながら励ましてくれる。さらに一真かずまくんも、


「そうだよ。山下ならいけるって」


声を掛けてくれた。本当にいい友達に恵まれたな。


「ありがと……」


沙奈子もホッとした様子だった。


その一部始終をビデオ通話で見届けて、僕も安心する。残念ながら僕にはそういう友達はできなかったけど、沙奈子にできてくれたのは、沙奈子自身がそういう友達を引き寄せる在り方をできてるからだと思うんだ。これが、相手を傷付けるようなことを平気でするタイプだったら、たとえ友達はできても似たようなタイプばかりが集まってたんじゃないかな。


お互いにストレスを掛け合うような、本当は友達なんかじゃない『ただの知り合い』って感じで。



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