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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千二百七十 SANA編 「ガキみたいなこと」

九月十四日。水曜日。晴れ。




「ぶんどどぶんどど、どどるるああ~!」


今日も玲緒奈れおなは、『謎の歌』を口ずさみながら自動車の玩具おもちゃを使って『僕で』遊んでた。自動車の玩具を僕の体で走らせてるんだ。それがなんだかくすぐったくて。


一見すると女の子に見えない振る舞いをする玲緒奈だけど、これはイチコさんも同じだったらしい。元気ではつらつとしてて朗らかで明るくて。


だけどそんなイチコさんも、今はそこまで陽気な印象じゃないかな。と言うのも、小学校の頃にクラスの男子にからかわれたことが原因で、少し対人恐怖症っぽくなった時期があったみたいで。イチコさんは他の子を楽しませようとして明るく振る舞ってたのを、


『いつまでそんなガキみたいなことしてんだよ!』


って言われたらしいんだ。それがきっかけになって、一部の男子からからかわれるようになって。


するとイチコさんも、『自分のしてることが他の人には評価されない』と感じたらしくて……。


だから、


「学校に行きたくない……」


山仁やまひとさんに打ち明けたこともあったって。すると山仁さんはその日はイチコさんを休ませて、学校に相談して。


それからは、沙奈子が千早ちはやちゃんとのことがあった時と同じようにすごく丁寧に対応してもらえて。


ただ、千早ちゃんの時とは違って、最初にからかってきた男子はその後も完全には態度を改めなくて、教師の見てないところでイチコさんをからかって来たり。


『気になる女の子だからからかってるだけじゃないの?』


みたいに思う人もいるかもしれないけど、そんなの、された方からしたらまったく不愉快なだけだし、好きだから気になってるからってそういうのを一方的に赦せと言うのは『加害者の理屈』でしかないと思う。しかもその男子は、ホントに自分にとってからかいやすいイチコさんをからかってただけで、『本当は好き』とかそんなのはまったく関係なかったみたいだね。


加えて、その男子の家庭も複雑なそれだったらしくて。


中学でクラスが離れて、高校はそれこそ『勉強ができない子が行く高校』に行ったそうでまったく交流もなくなったけど、その時の苦い経験が、


『人間なんてこんなもん』


という認識をイチコさんに持たせたというのもあったらしい。そして、


「男子って基本あんなのだから、それが歳取って体ばっかり大きくなっただけなのとか、なんで一緒にいなきゃいけないの?って思う。大希ひろきみたいのならまだいいんだけどさ。あ、でも、今の結人ゆうとくんはいい子だと思うよ」


だって。


その意味だと、沙奈子はまだ、男の子には恵まれてるのかもしれない。大希くんとか結人くんとか一真かずまくんとかね。結人くんは最初はかなりあれだったけど。



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