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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千二百六十七 SANA編 「考えるのも怖い」

九月十一日。日曜日。晴れ。




玲那が好きな作家さんが言ってたという、


『人間の赤ん坊が生まれるのは、異世界にいきなり転移したり転生することを考えたら、それがどういうことか分かる気がする。どんな世界か分からない、言葉も通じない、自分の感覚の一切が通用しない、しかも自分の周りにいるのは、意志疎通も満足にできない巨大で凶暴な怪物みたいな存在。そんなところにチート能力も与えられずに一方的に送り出されるんだよ?。それがどれほどの恐怖か、想像できない?』


というのが、僕にもなんだか腑に落ちてしまった。


確かにまったく見ず知らずの世界に、しかも自分で自分のことも守れないような、満足に自力では動けないような状態で放り出されて、さらに意思疎通もできない巨大な怪物みたいなのに囲まれてなんてことになったら、それこそ正気を保ってられる自信がない。


赤ん坊としてこの世に生まれてくるというのは、そういうことなんだなって思い知らされる。


なのに沙奈子も玲那も千早ちはやちゃんも結人ゆうとくんも一真かずまくんも琴美ことみちゃんも、その『巨大な怪物みたいな存在』から虐げられてきたんだ。ロクに抵抗もできない状態で。それがどれほど怖いことか、普通の想像力があれば想像できるんじゃないかな。


だけど世の中には、それが想像できない人もいるみたいだね。だからそんなことができてしまう。それどころか、『親だから子供に対して何をしてもいい』とか考えてたりする。


僕はそのことが残念で仕方ない。


『自分が優位な立場にいれば、相手に対して何をしてもいい』


そういう考えが何をもたらすのか、それを示すような事件とかも毎日のようにニュースになってたりするのに、まだそうやって自分を甘やかすんだね。


『客という優位な立場だから、店や店の従業員に対して何をしてもいい』


みたいに考えてる人が起こした事件や騒動だって、それこそ枚挙の暇もないくらいに起こってるんじゃないの?。


僕はそんな考えは大人として恥ずかしいと思うんだけどな。


人間から生まれるのは人間なんだから人間として扱うのが当然なのに、親が子供を人間として扱わず『何をしてもいい』とか考えてるから、子供も自分以外の誰かを人間として扱わなくていいというのを学び取ってしまうんじゃないのかな?。


沙奈子も玲那も千早ちゃんも結人くんも、『そうじゃない。それはおかしい』と学んでくれたから、ついついそんな態度を取ってしまいそうになる自分を律することができるようになっただけだよ。それを学ぶことができてなかったらどうなっていたか、考えるのも怖い。



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