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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千二百六十一 SANA編 「物理的に負担を」

九月五日。月曜日。晴れ。




『リモートワークしてて、見えないところでさぼっててもその人がしなきゃいけない分の仕事がこなせてるんなら、その人が会社に出勤してた時には何をやってたの?って話じゃん?』


玲那の言ったことは確かにその通りだと思う。実際、僕も打ち合わせとかのために出勤した時には、あれやこれやと雑用をすることになったりもするし。在宅で仕事をしてた時にはしなくてよかった、本来は僕がするべき仕事じゃない雑用を、『そこにいるから』という理由ですることになるというのは、おかしな話だよね。


だから星谷ひかりたにさんが作ろうとしてるロボットはまさにそういう部分を負担するためのものと考えればいいみたいだ。人間の従業員は自分の仕事だけをこなせばよくて、それ以外の雑務をロボットに任せるという感じで。


ただそのためには、ロボットそのものの維持費とかについても人間の従業員よりも抑えられなきゃ意味がないだろうな。『人間を雇った方が安上がり』じゃ、結局は人間にまた過重労働という形で押し付けることになるだろうし。


もちろん、星谷さんもその辺は承知の上だそうだ。だからこそ簡単にはいかない。『人間のように動けるロボット』というものは、今の時点では確実に高コストなものになってしまうって。『人間のように動ける』という部分がそれこそ安価で実現できないと、到底、実用的とは言えないと。


そうだね。ちゃんと実用性を考慮しないと、それこそ『企画倒れ』になってしまうと思う。企業経営というのはシビアだから。『多少コストがかかっても楽しめればいい』というものじゃないから。そしてコストというものは数字で表せてしまうから、誤魔化しが利かない。しっかりと実用的な『人間の代わりができるロボット』の実現には、これからもいくつものハードルがあるんだろうな。


だけど、


「ブラック労働や介護や育児について対処するには、精神論や根性論では根本的な解決にはならないと私は考えています。物理的に負担を減らさなければいけないんです。でもそれは、他の方に負担を押し付ける形であっては問題の形を変えるだけにしかならないでしょう。その負担を、苦痛を感じることなくこなせる存在が求められているのだと私は考えます」


星谷さんが言うように、僕も実際に玲緒奈れおなを育ててみて、『これは別に親がやらなくてもいいんじゃないかな』という部分はいくつもあった。洗濯とか掃除とか、家事の多くをロボットに任せられれば、親は子供と接することに集中できて、精神的にも余裕ができそうだなって感じたんだ。



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