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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千二百五十二 SANA編 「ここまでのことは」

八月二十七日。土曜日。曇り。




秋嶋あきしまさんについては、今日も、熱は下がってるのに体調がすぐれないそうだ。座ってるだけで体が疲れてしまって起きていられないとのこと。


その一方で、沙奈子たちにはいつも通りに過ごしてもらってる。何しろ、いくら秋嶋さんが知り合いだからって、直接どころか間接的にもずっと関わってこなかった相手だから、感染しようがないからね。『物理の壁を越えて感染することはない』ってことだよ。


だから水族館にも行ってきてた。


ただ同時に、これまで以上に気を引き締めて感染症対策については行わなくちゃと感じる。それを『気にし過ぎだ』と感じる人もいるかもしれないけど、


『なるべく日常生活に近い生活をするためにこそ、差しさわりのない範囲で厳重な対処をする』


だけなんだ。新型コロナウイルス感染症に対しては気休めに過ぎないとしても、インフルエンザとかについては実際に減ってたわけだからね。まったく無駄ってことはないと思う。


高校の文化祭が、制限アリでも実施されることになったのも、ちゃんと対策を心掛けることを約束できたからだしさ。『何でもかんでも自分の思い通りになるわけじゃない』というのをわきまえてれば、制限がある中でも楽しむことはできると思うよ。


確かに、いくらこっちが対策しててもそういうのを一切無視する人がいれば、秋嶋さんが感染したみたいなことはあるかもしれない。でも、だからって自分もいい加減なことをしてていいと考えるのはただの『甘え』だと僕は思う。そんな人の力になってあげたいとは、僕も思えない。玲那が、


『あっきーに対して『ざまあ』みたいなことを言うのは私が許さない。いいね?』


と、アパートの住人たちに対して釘を刺してたみたいに、わざわざそう言わないといけないくらい秋嶋さんに対してわだかまりがあったことは紛れもない事実だと思う。元々友達であり仲間であってもそう言わないといけないくらいなんだから、それこそ普段から誰かを攻撃したり罵ったりしてるような人を支えたいと思えるほど、僕たちは聖人君子じゃない。これこそが、『普段の行いがものを言う』ってことなんじゃないのかな。


秋嶋さんは、玲那の事件の時にすごく力になってくれた。味方になってくれた。それがあるからこそ、アニメのことで意見が対立してもそのことでわだかまりはあってもまだ大目に見てもらえた。だけどこれが、田上たのうえさんの弟くんやお母さんだったら?。


たぶん、ここまでのことはできてなかっただろうね。



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