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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千二百五十一 SANA編 「違いがあっても」

八月二十六日。金曜日。晴れ。




秋嶋あきしまさんが新型コロナウイルス感染症に罹患したことで、いろいろ考えさせられた。


『どう?。調子は?』


玲那がメッセージを送ると、


『熱はすっかり下がった感じです。でも、体感的には、微熱がある時の、鼻の奥が熱っぽくて頭の中がぼうっとしてる感じがあって。これが『ブレインフォグ』ってやつなのかな』


という返事が。熱が収まってウイルスが検出さえされなかったから『治った』ってことにはされるんだろうけど、もしその状態がこれからもずっと続くようなら、本当に仕事にも差し障るんじゃないかな。せっかく正社員として登用されたのに、そんなことで職を失ったりしたら僕もすごく悔しいよ。


でも、雇う側としても、本来期待していた仕事ができない状態のままで雇い続けるのも難しいというのは、分からないわけじゃない。だから何とかなるべく元の状態に近付けるようにサポートが必要なんだろうなって気がした。


「新型コロナウイルス感染症の後遺症については、現在も研究中で分からない部分が多いと聞きます。ですので、私としても迂闊なことは申し上げられません。ただ。現にこうして症状に悩まされている方がいらっしゃるのであれば、せめて対処療法だけでも充実させる必要があると感じました。ですので、連携している医療機関にて、症状を緩和するための対処法について探ってもらっています。投薬治療や湿布などの外用薬を積極的に用いて症状を緩和していく形です」


星谷ひかりたにさんのところには、外国での症例についても情報がたくさん入ってくるとのこと、外国の協力企業に少なくないダメージがあったことから、さらに踏み込んだ対応を行ってたそうだ。何しろ、協力企業の幹部が新型コロナウイルスに罹患して亡くなり、それが基で倒産寸前にまで至ったのもあったって。他にもあては作ってあったから星谷さん自身が被ったダメージは限定的だったそうだけど、それでよかったよかったとばかりは言えないからね。


何より、星谷さん自身はすでにワクチンも接種済みだそうでありつつ、もし罹患して後遺症が残った場合にこれまで通りに仕事ができなくなったら大変だから、そういう部分についても影響を最小限に抑えるための対策は必要だってことらしい。


「ですので、皆さんについては優先的に対処させていただきます。これを『不公平だ』とおっしゃる方もいらっしゃるでしょうが、常日頃から人間関係を大切にしてきた結果だと考えればむしろ違いがあって当然ではないでしょうか」


そうだね。普段から誰かに対して攻撃的な人とそうでない人には違いがあってもおかしくないかなとは、僕も思う。



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