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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千二百五十 SANA編 「味覚が変わった」

八月二十五日。木曜日。晴れ。




秋嶋あきしまさんは、熱は下がったものの、


『背中がすぐに痛くなってきて、起きてられない。座ってもいられない』


という状態だそうだ。


『ホントに、僕も風邪とか何度も罹りましたけど、インフルエンザもやりましたけど、熱さえ下がったらだいたい楽になったのに。新型コロナは熱が下がってもそういうのが残るみたいですね。玲那さんが湿布を差し入れてくれなかったら起きてることもできなかったかも』


とのことだった。確かに、『後遺症』についてはいろいろ言われてたけど、実際にそういうのあるみたいだね。しかも秋嶋さんの場合、


『味が分からないってほどじゃなかったですけど、味覚が変わったかも。味付けポン酢がしょっぱく感じられるようになったんです。『酸っぱい』じゃなくて『しょっぱい』。チーズもなんだかしょっぱくて。あと、アルコールの匂いがあんまり分からなくなった気がします。匂い全体が分からないんじゃなくて、アルコールの匂いが分からない感じ』


そんな調子で、


『ホント、『普通の風邪でも後遺症とかあったりする』とか言って『普通の風邪』ってことにしたいのがやたらいますけど、そういうの、後遺症残るような形で新型コロナに罹ってないから言えるんだって思いました。『普通の風邪』じゃ絶対ないです。風邪の仲間なんだとしても『ヤバい風邪』ですよ。玲那さんたちも気を付けてください。命には関わらなくても、この調子でちゃんと仕事に復帰できんのか、心配で……』


だって。


『ものすごく疲れやすくなった』


『ずっと立っていられない』


『ずっと座ってることもできない』


そういうのも聞くよね。それがこうして実際に身近な人に現れた。


もちろん、まだ四日目だから完全に回復してないというのもありそうにしても、でも、仕事や学校に復帰した人の中でも以前の調子には戻らない人もいるって聞く。


確かにそういうのがまったくなく本当に軽く済んだ人もいるんだろう。だけど、致死率は低くても、


『以前と同じように働いたり勉強したりできない』


ようになるのはすごく重大なことだと思うんだけどな。その後の人生そのものを大きく変えてしまうほどの。


「だからもしそうなった時に、ちゃんと支えられるようにしなきゃって思う」


夜、家族でリビングに集まって、僕はそう切り出した。


「そうですね。秋嶋さんみたいに完全に『貰い事故』的な形で感染したのに、以前のように仕事できなくなったなんて、あんまりです」


絵里奈に続いて玲那も、


「ほんとだよ。あっきーに対してはわだかまりもないわけじゃないけど、それとこれとは別だから」


悔しそうに言ったんだ。



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