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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千二百四十九 SANA編 「きちんと節度を」

八月二十四日。水曜日。曇り。




今回、秋嶋あきしまさんが『新型コロナウイルス感染症』に罹患したことで、改めて、


『きちんと節度をわきまえていれば、ただの感染症。物理の壁を越えて感染したりはしないのをしっかりと理解する』


のが大事だと実感した。世の中では罹患した人に対して誹謗中傷を行うような輩もいるらしいからね。しかも秋嶋さんの場合は、勤め先でもらってきたらしい。


秋嶋さんは今、本屋の正社員として働いているそうだ。で、お客の中にひどく咳き込んでるのにマスクもしてなかった人がいて、その日、一緒にシフトに入ってたバイトの人が熱を出したことで検査を受けたら陽性で、『濃厚接触者』として秋嶋さんも検査を受けたらこちらも陽性。そして一昨日になって発症。


今のところ、陽性が確認されたのは二人だけではありつつ、本屋は臨時休業に。


これについて波多野さんは、


「うちも対面販売の店舗だから他人事じゃないですよ。咳してるお客とかいるとギョッとしますもん。でもまあ、ここまではマスクしてないお客ってのはうちはなかったですけどね」


とのことだった。従業員にもまだ感染者は出てないって。業績も、店頭販売こそは落ち込んでるもののネット通販の方はむしろ順調で、全体としては例年のレベルをかろうじて維持してる状態らしい。この辺りは根強いファンがついてくれているのと、今の時流に合わせてネット通販に力を入れるようにしたことが幸いしたみたいだね。


でも、本屋というのは、店ごとの独自商品みたいなもので差別化を図るのも難しいだろうからなあ。本の通販だって大手の通販業者がすでに大きなシェアを獲得してて、今から伸ばせるものでもないだろうし、ここにきての『新型コロナウイルス感染症』というのは、すごく厳しい状況だろうね。


そして当の秋嶋さん自身は、


『熱は三十七度台まで下がってきました。だけど、頭が痛いのと喉が痛いのと、体中が痛くて座ってることもできません。インフルエンザでもこんなことなかったのに。誰だよ、『ただの風邪』なんて言ってた奴。ただの風邪でここまでなったことなんか今まで一度もないよ』


少し精神的には回復してきた様子だった。一昨日には文面からもすごく弱ってる印象だったのにね。だけど、回復してるならよかった。


それに対して玲那は、


『おっしゃ!。なら今度は湿布を差し入れてやる。覚悟しとけ!』


だって。そうしてドラッグストアに走って、湿布を十箱ばかり買い込んで、秋嶋さんの部屋の前に届けて。


すると深夜に、


『湿布を貼ったら少し楽になりました。ありがとうございます』


とメッセージが。



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― 新着の感想 ―
[一言] 濃厚接触者ソフトとかお国が配っていますが スーパー勤務の妹はほぼ毎日が濃厚接触状態なので 意味が無いと嘆いていました ホントに対人関連の仕事の人は大変だと思いますし、 営業職なんかだと「出…
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