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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千二百四十八 SANA編 「仲間だろ?」

八月二十三日。火曜日。晴れ。




まさかまさかの、


秋嶋あきしまさんの新型コロナウイルス感染症罹患』


に、僕たちも動揺しなかったと言ったら嘘になる。このことについて、アパートの住人たちにも周知された。迂闊に秋嶋さんの部屋を訪ねようとしたりしたらリスクが跳ね上がるだろうからね。


だけど同時に、


「あっきーに対して『ざまあ』みたいなことを言うのは私が許さない。いいね?」


玲那はみんなにそう釘を刺してた。


「もちろんです、玲那さん」


「大丈夫です。僕たち、あの時だってやれたでしょう?」


喜緑きみどりさんたちはそう応えてくれる。そうだね。玲那の事件の時だって冷静に対処することを心掛けてくれた人たちだ。きっと大丈夫。


その上で、大まかな対応の基準を作っておく。


『支援物資は玄関先に置いた上でメッセージを送り、直接の接触は避ける』


『すぐに返信がなかった時は三十分を目安にしていったん物資を回収する』


『ネット上で話題にするとしても、概要に触れるだけにする。それ以外の個人的なあれこれについては触れない』


『きちんと節度をわきまえていれば、ただの感染症。物理の壁を越えて感染したりはしないのをしっかりと理解する』


という感じかな。


すると早速、喜緑さんたちからの支援物資が玄関前に届けられて、


『ありがとう。ありがとう』


秋嶋さんからのメッセージが。


そして真っ先に支援物資を届けてくれたのが、波多野さんだった。昨日のうちに玲那から連絡を受けたその足でコンビニに行って水とトイレットペーパーとティッシュペーパーとアメとプリンを買ってきてくれたって。


実はいまだに直接は顔を合わせて話もしたことのない相手に、『玲那さんの友達だから』というだけでそこまでしてくれる波多野さんに、


「ありがとう、カナ。マジありがとう!」


玲那は何度も電話で頭を下げる。それに対して波多野さんも、


「なに言ってんですか。玲那さんの大事な友達なんでしょ?。それが困ってんならこのくらいは余裕余裕」


って言ってくれてて。でも同時に、


「だからって、これからずっとっていうのは難しいですけどね」


ちゃんと線引きはしてくれる。姿勢は明らかにしてくれる。『いつでも力になります』と口では言いつつ実際にはただのポーズで本当は何もしない人も少なくないから、その辺りを明言してくれてる方がありがたい。だから玲那も、


「おう、もちろんだ。今回のだけで十分だよ。恩に着る」


笑顔で返す。


そして続いて、喜緑さんたちからの支援物資も届いて、


『これで当分、何とかなります。ごめんなさい、俺なんかのために……』


秋嶋さんからのメッセージ。これには玲那は、


『何言ってんだよ。仲間だろ?。こういう時は『ごめんなさい』じゃなくて『ありがとう』でいいんだよ』


だって。



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