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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千二百四十五 SANA編 「ふんわりした希望」

八月二十日。土曜日。雨。




文化祭のコスプレのためのエプロンドレス作りがきっかけで、沙奈子のやりたいことが決まった。


と言っても、もちろん完全に本決まりってわけじゃなくて、まだまだ、


『そうしたいな』


って感じのふんわりした希望だけどね。だからこの先、また気が変わることもあるとしても、それはそれでいいと思う。しっかりと目標が決まって一直線に突き進んでいくのも一つの生き方ではあるものの、それだけがすべてってわけでもないしさ。


だけど、沙奈子も、『自分の考えを一方的に誰かに押し付ける』ことはしなくても、実は割と頑固なところがあるから、こうと決めたら譲らなかったりも。


彼女のそういう部分は頼もしいとも思う。


その一方で、千早ちはやちゃんは、


「そうなったら私はやっぱパティシエの専門学校かなあ。京都にもあるみたいだし、電動アシスト自転車なら通えない距離でもないし」


と口にして。


それまでは沙奈子と同じ大学に通いながらケーキの勉強もって感じだったらしいけど、沙奈子が服飾専門学校に通うなら自分はやっぱりケーキ作りの専門技術を学ばなきゃと思ったみたいだ。正直、今の彼女でも十分にプロとしてやっていけそうな気はしつつも、沙奈子がドールのドレスに特化した技術しか持ってないのと同じで、彼女が知らない技術を学べるかもしれないしね。


すると結人ゆうとくんは、


「俺は、大学には行かねえ。家具を作ってる工房に就職してそこで技術を磨く」


って言いだして。さらに大希ひろきくんも、


「僕は福祉の道に進みたいかな。たくさんの人を助けたいから」


だって。そんなみんなに、一真かずまくんは、


「いいなあ、みんなはやりたいことが決まってて。俺なんかとにかく就職して琴美ことみつれて家を出なきゃって思ってるだけだもんな」


と口にして、篠原さんは、


「私も、別に将来なりたいものとかないんだ……。たぶん、親に言われてお見合いとかして結婚するだけなんだろうなって思ってる……」


少し悲しそうに。


彼女はまだまだ親に言われたままの生き方しかできてないんだってことがそこからも分かる。自分で自分の人生を生きられてないんだろうな。子供で親の庇護下にいるうちはある程度は仕方ないとしても、


『子供が大人になったら親が責任を負う必要はない』


とか言ってる人が多いけど、だったらどうして、子供が大人になってからまで生き方に干渉しようとするの?。『こんな仕事はだめだ』とか『結婚して子供を生むのが幸せだ』とか、そんな風に口出しするのはおかしいよね?。


自分が何か責任を問われそうになったら『子供が大人になったら親が責任を負う必要はない』とか言うくせに、『親が子供の心配をするのは当たり前だ』とか言って人生にまで干渉しようとする。


本当に狡いよね。



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