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僕に突然扶養家族ができた訳  作者: 太凡洋人
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二千二百四十三 SANA編 「琴美のためにも」

八月十八日。木曜日。晴れ。




夏休みももう残り十日余り。そんな中で、沙奈子たちは文化祭に向けての準備を、『人生部の活動』として始めてた。


でも、そのための『エプロンドレス作り』で、沙奈子は、自分の技術の拙さを思い知らされてしまったみたいだ。


『ドールのドレスを作る』という一点に絞れば彼女の技術はむしろ並外れてるらしいんだけど、『洋裁全般』としてみれば、できて当然のことがまだちゃんとできなかったり。


これまで必要なかった部分の技術だから当然と言えば当然にしても、


『できるけど普段は使わない』


のと、


『そもそもできない』


のとでは、やっぱり大きく違うんだろうな。そして沙奈子自身、


『ドールのドレスだけ作れればそれ以外は必要ない』


とは必ずしも思ってなくて。


「本物の服を作れる技術とか、本物の服を作る時のデザインの仕方とかをちゃんと勉強したいかなって思う」


だって。


「だったらやっぱり、洋裁の技術をきちんと学べるところに行くのが筋かもね。私もそっちと悩んで結局は普通の大学に行ったけど、『もっとちゃんと習っておけばよかったかな』って思うことは正直言ってある」


絵里奈もそう言ってくれて、


「進路として考えてみたらいいんじゃないかな」


僕も親として告げたんだ。そしたら、人生部の活動の中で、エプロンドレスを作りながら、


「私、洋裁をちゃんと勉強できる学校に行こうかなと思ってる」


って沙奈子が口にすると、


「え?。マジ?。私、沙奈と同じ大学行きたいなって思ってたんだけど……」


千早ちはやちゃんが漏らして、それに対して結人ゆうとくんが、


「沙奈子がやりたいってんなら応援すんのが筋ってもんじゃないのかよ?。てか、いつものお前だったらそう言うと思ってたけどな」


だって。さらに大希ひろきくんも、


「僕も結人と同じかな。沙奈が行きたいと思うところにするべきだと思う」


と言ってくれて。でも篠原さんは、


「え~?。そうなったら離れ離れになるんでしょ?。それは寂しいな……」


とも。もちろん、そういう意見もあっていいんじゃないかな。そしたら一真かずまくんが、


「でも、そのための『人生部』なんだろ?。違う学校に行っててもここに来たらみんないる。てか、俺としては琴美ことみのためにもそうして欲しいんだけどな」


今の彼の素直な意見を語ってくれた。


確かに、沙奈子たちがそれぞれ目標に向かって進みだしたらそこで『人生部は解散』だったら、琴美ちゃんの居場所がなくなってしまう。いずれは解消することになるとしても、そんなに急ぐ必要もないんじゃないかな。


と、僕も思った。



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